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 山門の両脇には、鮮やかに花開いた彼岸花が連なり、それはまるで本堂へいざなう燈火のように、訪れた人を出迎えてくれます。本日はお彼岸明けの最初の日曜日です。「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉に違はず、夏の暑さもひと区切りつき、ようやく秋の訪れを実感できる季節となりました。おそらく身も心も幾分軽くなったような気がするのは私だけではないでしょう。

 

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 涼しくなったとはいえ、躰を動かすとまだ汗ばんでしまうこの日、坐禅堂にて心静かに脚を組むと、日頃の喧騒も何処へやら、心地よい没入感を得た気分になります。まさに好坐禅の時期が到来したといっても過言ではないでしょう。
 坐禅後は、本日で9回目となる『禮拜得髄』の巻の講義が行われました。本日の講義は、「女人なんの咎があるか、男子なんの徳があるか」について記された箇所になります。講義の中で方丈は、修行を盾にして異性をはなから拒絶する行為は、人間として人類の半分との関係を失うことになると話されました。人は誰かと関わりながら生きている、人だけでなく様々なモノにも依存しながら仕事をし生活をしている。にもかかわらず、「人は膨大なモノに依存していくうちに、何にも依存していないかのように錯覚し、それを『自立』だと勘違いしてしまうのだ」という内容の話しを、脳性麻痺の当事者であり医師でもある熊谷晋一郎さんの体験を引用しながら話され、他者との関わりの大切さについて繰り返し述べられました。
 講義後は、茶話会を行い、連絡事項等を伝達した他、参禅会の会報『明珠84号』の完成を報告し、散会となりました。

 

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