平成二七年八月施食会報告 プリント
img_6694-1.jpg8月16日午後1時から龍泉院の大施食会が催されました。今年は日曜日にあたり、厳しい暑さの中、大勢の皆様に御来山いただきました。
午前9時から本堂にて幢幡や施餓鬼棚 荘厳等の作業に取りかかりました。今年はとげぬき地蔵尊で知られる東京巣鴨 高岩寺の住職・医師 来馬 明規(くるまめいき)師から禁煙のお話をいただくことになり、明規師とともに10時から準備作業を始めました。2組の大型スクリーン、スライドプロジェクター、音響装置にノートパソコン、レーザー照明、ケーブル類などを整え、11時からリハーサルを行い、12時前に準備作業が完了しました。
11時半に大悲殿の台所で早めの中食をいただき、12時から本堂班、駐車場班に分かれて、施食会参加者来場の対応にあたりました。
12時半から、梅花講員の御詠歌が始まり、新盆を迎えられたご家族・ご親戚の方々が着席されました。参加者には経本に加えて禁煙うちわ、講演資料が配布されました。
午後1時からご老師のご挨拶に続き、明規師の講演が始まりました。明規師は禁煙マークの付いた袈裟・帽子 (けさ・もうす)で入堂され、冒頭「タバコというとげを抜きに参りました」とご挨拶されました。聴衆の居眠り防止のためか「なぞかけ」や「おやぢギャグ」をこれでもかと連発され、会場はなごやかな気分になりました。
img_6696-1.jpg明規師は循環器や禁煙指導専門の内科医でもあり、診療・禁煙推進活動やAED(自動体外式除細動器)・救急救命法の普及推進活動もしています。明規師は禁煙とAEDの密接な関係を示されました。自分で吸う「能動喫煙」はもちろん、他人のタバコ煙を吸わされる「受動喫煙」でもタバコの毒で血液「サラサラ」が「ドロドロ」となり、心臓の冠動脈に血栓ができて心筋梗塞から心室細動 (しんしつさいどう)、心肺停止が起こるのだそうです。ところが、受動喫煙被害から心肺停止発生までは2〜3時間かかるので、被害を受けた人はまさか受動喫煙が心肺停止をおこすとは思いも寄らないのです。つまり受動喫煙と心肺停止の因果関係は意外と知られていないのです。
しかし明規師は『修証義』から「因果の道理歴然として私なし」の一節を引用され、タバコの恐ろしさを明解に示されました。
次に、明規師はAEDで心臓が蘇生する様子を生々しい映像で説明し、禁煙と救急救命法を、「医学」「仏教」「街づくり」の3つの観点から説明されました。
1.「医学」の立場からは禁煙はタバコ病の「予防」、救急救命は素人が行える究極の「治療」です。
2.「仏教」の立場からは禁煙は悪いことをしない「持戒」「諸悪莫作」、救急救命は良いことをする「菩薩行」「衆善奉行」に相当します。
3.「街づくり」の立場からは、禁煙は受動喫煙のない清潔な「環境」を提供し、救急救命は参拝者の「安心 安全」を担保します。つまり禁煙も救急救命も「おもてなし」です。
img_6706-1.jpg次に「依存性」についての説明がありました。タバコが悪いことだと「わかっちゃいるけどやめられない」のは、ニコチンに「依存性」があるからです。タバコ、アルコール、麻薬、携帯端末やギャンブルなどさまざまな「依存性」は、仏教の「とらわれ」「むさぼり」「ほしがり」、あるいは「執着」に相当し、私たちが克服しなければならない課題のひとつです。
ですから「愛煙家」という言葉はウソ!です。毒なるニコチンを愛でることはできませんから。喫煙者は「ニコチン依存症」という病気になった人なのです。明規師はニコチン依存症の悲惨なありようを動画で説明されましたが、この生々しい映像を見たら大概の人はタバコを吸う気にはなれない筈です(なぜ日本ではタバコの害がPRされないのでしょうか?)。
img_6704-1.jpg外国のタバコのパッケージにはタバコ病の生々しい写真を明示することが義務付けられていますが、日本のタバコ箱のデザインは、きれいで魅力的なイメージを醸し出すように仕組まれています。明規師は「日本はまだまだタバコ対策後進国です」と示されました。
さらに、タバコ製品が喫煙、受動喫煙の健康被害のみならず、葉タバコ農園で働かされている子供たちにも深刻な被害をもたらしていることを説明されました。日本で消費される葉タバコの多くは世界各地の発展途上国で生産され、子供が学校にいかずに農作業に従事しています。アフリカのマラウイでは、葉タバコ農園で一日中働いて日当はわずか10円です(タバコ会社代表取締役の年収は10数億円です)。
子供たちは葉タバコを素手で扱い、皮膚を通して大量のニコチンを吸収し、急性ニコチン中毒を繰り返して、若くして死ぬそうです。タバコ産業は喫煙者、受動喫煙被害者だけでなく、罪のない発展途上国の子供たちを死に追いやりながら莫大な利益をあげています。まさに「タバコは悪魔」です。
img_6705-1.jpg以上の説明を終えられた後、喉頭がんで声を失った方が使う人工喉頭で、禁煙替歌を2曲披露されました。芹洋子の『四季の歌』から『死期(止期)の歌」を、『北の宿から』ならぬ『禁煙の宿から』を禁煙歌歌手「よし・やめよう」名義で熱唱されました。あざやかなレーザー照明の下、禁煙マークのサングラスで唄い歩き、凝った演出に驚きました。
明規師は最後に、タバコの害悪はわずか4行で示すことができるとして、「タバコ四段喝ヨ!(四段活用)」を提示されました。
1.「作って死に」→ 葉タバコ収穫の子供達がニコチン中毒で死んでいる
2.「売って儲け」→   葉タバコ1円が100円になるビジネス
3.「買って騙され」→    喫煙者はダマされてタバコ製品を買い
4.「吸って死ぬ」→   依存症のため吸い続け、長く苦しんで早く死ぬ
これがタバコの真実であるとまとめられましたが、最後のオチは「何処にも居そうにない医僧(いそう)の話」でした。
講演終了後機材を片付け、午後2時から恒例の施食会法要が始まりました。
最終更新日 ( 2015/08/24 月曜日 22:03:48 JST )
 
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