平成三〇年四月定例参禅会報告

今月の提唱

『正法眼蔵』「佛經」の巻(1)

img_0705.jpg-1.jpgこのなかに教菩薩法あり、教諸佛法あり、おなしくこれ大道の調度なり。調度ぬしにしたかふ、ぬし調度をつかふ。これによりて西天東地の佛祖、かならす或從知識、或從經卷の正當恁麼時、おのおの發意、修行、證果かつて閒隙あらさるものなり。發意も經卷知識により、修行も經卷知識による、證果も經卷知識に一親なり。機先句後おなしく經卷知識に同參なり、機中句裏おなしく經卷知識に同參なり。
知識はかならす經卷を通利す。通利すといふは、經卷を國土とし、經卷を身心とす、經卷を為佗の施設とせり、經卷を坐臥經行とせり、經卷を父母とし、經卷を兒孫とせり、經卷を行解とせるかゆゑに、これ知識の經卷を參究せるなり。知識の洗面喫茶、これ古經なり。經卷の知識を出生するといふは、黄檗の六十拄杖、よく兒孫を生長せしめ、黄梅の打三杖、よく傳衣付法せしむるのみにあらす、桃華をみて悟道し、竹響をききて悟道する、およひ見明星悟道、みなこれ經卷の知識を生長せしむるなり。あるひはまなこをえて經卷をうる皮袋拳頭あり、あるひは經卷をえてまなこをうる木杓桼桶あり。
いはゆる經卷は、盡十方界これなり、經卷にあらさる時處なし。勝義諦の文字をもちゐ、世俗諦の文字をもちゐ、あるひは天上の文字をもちゐ、あるひは人閒の文字をもちゐ、あるひは畜生道の文字をもちゐ、あるひは修羅道の文字をもちゐ、あるひは百草の文字をもちゐ、あるひは萬水の文字をもちゐる。このゆゑに盡十方界に、森森として羅列せる長、短、方、圓、青、黄、赤、白、しかしなから經卷の文字なり、經卷の表面なり。これを大道の調度とし、佛家の経卷とせり。


今月の所感

img_0708.jpg-1.jpg今月から『正法眼蔵』「佛經」の巻のご提唱が始まりました。「佛經」の巻は『正法眼蔵』95巻の52番目にあたり、寛元元年(1243)秋に撰述されました。因みに前年の11月に「佛教」の巻が撰述されています。なお「佛經」の巻はかなり長いので、提唱は今年一杯かかるのではないかとご老師は仰れていました。
今月のご提唱の中には、師匠と弟子との悟りの機縁となった故事や有名な祖師方の悟りの機縁をいくつか紹介されえています。臨済義玄が黄檗希運の六十棒を食らったことや、黄梅山で五祖弘忍が石臼を杖で三回打って、六祖慧能に達磨の袈裟と法を伝えたこと。霊雲志勤が桃の花を見て悟道したことや、香厳智閑が瓦礫が竹にぶつかる音を聞いて契悟したこと。さらに釋尊が明けの明星を見て成道された故事が列挙されています。
これらの事柄は皆、万法の真実である経卷が指導者を生長させたことなのであると道元禅師は言い放っておられます。その結びとして「いはゆる經卷は、盡十方界これなり、經卷にあらさる時處なし」と述べられています。即ち、森羅万象あらゆるものが佛教であり、佛の教えを示されていると述べられているのです。これが「佛經」の巻の結論ともなっているところです。

img_0709.jpg-1.jpg毎年4月は、定例参禅会の初めにご老師から坐禅の基本についての講話があります。昨年までは坐禅堂でご指導を受けていましたが、今年は大悲殿で行われました。ご老師は大学時代に澤木興道老師から坐禅のご指導を受けましたが、つぎの言葉が強く残っているそうです。
澤木老師は「坐禅は何のために行うのか、きちんと把握しておかなければならない」と仰られ、「何々のためにやる坐禅だったらやめてしまえ」と言われたそうです。タメ坐禅はするなというわけです。即ち「自分が自分を自分する」と、自分に親しむ坐禅でなければならない。坐禅は人様のためにやるのではないと強く戒めらえたそうです。
ご老師も「警策をもって回ると、すっと背筋を伸ばす人がいます。これはひとつの見栄です。これは自分が自分を自分しているのではありません」と鋭く指摘されました。このご指摘を聞いた途端、私はギクッとしました。ご老師の足音が近づくと確かに背筋をピンと伸ばす時があります。ご老師にはそこのところがキチッと見抜かれていたのかと、冷や汗をかきました。「自分が自分を自分する」坐禅に徹しなければならないと自戒した次第です。
またイス坐禅についてもご注意がひとつありました。イスの背もたれに寄りかかり、ふんぞり返って坐っている人がいますが、背筋をイスに対して垂直にし、背筋と大腿部と足の脛がクランクになるように坐らなければならないと指摘されました。
さらに、個人ごとに坐り方にはそれぞれクセがありますが、無理に矯正しようとすると、逆にリズムが狂ってしまうことがありますので、無理にクセを直す必要はありませんと付け加えられました(坐禅中に居眠りをするクセは論外です)。


小畑代表幹事からのお知らせ

・一夜接心が6月2日(土)~3日(日)で行われます。

    一夜接心ついてはこちら>>

ご老師からのお知らせ

・一夜接心は七炷坐りますので、普段の参禅会の坐禅が楽になります。
・筍を掘った後の穴はきちんと埋め戻してください。

今月の司会者 山川 進
今月の參加者   名
来月の司会者 冨沢 日出夫

最終更新日 ( 2018/05/27 日曜日 18:28:15 JST )