令和二年一一月定例参禅会報告 プリント

今月の提唱

『正法眼藏』「光明」の巻(4)

img_2906.jpg-1.jpg微臣かつて佛書をみるにいはく、佛光は青黄赤白にあらす、いまのはこれ龍神衞護の光明なり。皇帝宣問す、いかにあらんかこれ佛光なる。文公無封なり。
いまこの文公、これ在家の士俗なりといへとも、丈夫の志気あり、回天轉地の才といひぬへし。かくのことく参學せん、學道の初心なり。不如是學は、非道なり。たとひ講経して天華をふらすとも、いまたこの道理にいたらすは、いたつらの功夫なり。たとひ十聖三賢なりとも、文公と同口の長舌を保任せんとき、發心なり修證なり。
しかありといへとも韓文公なほ佛書を見聞せさるところあり。いはゆる佛光非青黄赤白等の道、いかにあるへしとか學しきたれる。卿もし青黄赤白をみて、佛光にあらすと参學するちからあらは、さらに佛光をみて青黄赤白とすることなかれ。憲宗皇帝、もし佛祖ならんには、かくのことくの宣問ありぬへし。
しかあれは明明の光明は、百草なり、百草の光明、すてに根茎枝葉華果光色、いまた與奪あらす。五道の光明あり、六道の光明あり。這裏是什麼処在なれはか、説光説明する。


今月の所感

img_2897.jpg-1.jpg今月は唐の11代皇帝である憲宗(805~820)が仏舎利を内裏に迎えて供養した時、夜に光明を放ったことからのお話です。
皇帝は仏舎利が光明を放ったことを大変悦び、早々に参内した群臣は賀辞を奉ったが、一人韓愈だけは賀辞を呈しなかった。そこで皇帝は「皆が賀辞を述べているのに、そなた一人だけが賀辞を呈しないのは何故なのか」と韓愈に問いかけました。
韓愈は、「私はかって経典を拝読しましたが、佛の光明は青・黄・赤・白ではないと書かれていました。今の光は竜神が仏舎利を護衛している光です」と答えました。すると皇帝は、「では仏の光明とはどのようなものなのだ」と質問されましたが、韓愈は答えませんでした。
因みにこの話は『佛祖統紀』巻41の憲宗の章や『聯燈會要』巻20の韓愈の章や『宗門統要正續集』巻11の韓愈の章などに見られるものです。
道元禅師はこの話をうけて、仏舎利の発した光が仏の光明でないと喝破した韓愈を褒め称えています。韓愈は在家の士大夫ではあるが、すぐれた気概の持ち主であり、天地を動かすほどの力量を持った人物であると評価しています。従って仏道を学ぶ初心者は、韓愈のような態度で学ばなければならないし、そうでなければ仏道を学ぶ道ではないと、憲宗を諌めた韓愈を持ち上げています。
でも、そのように持ち上げた韓愈にも、まだ経典を十分に理解していないところがあると、道元さんは指摘しているのです。
img_2902.jpg-1.jpg韓愈は「仏の光明は青・黄・赤・白等ではない」という言葉を、どのように学んでいたのであろうか。もし韓愈が青・黄・赤・白の光は仏の光ではないと理解する力があったなら、さらに一歩すすめて、仏の光明はどうして青・黄・赤・白のみであろうか知るべきであると、道元さんは韓愈に注文をつけています。
つまり明るく照らしだしている光明とは、例えば一切の草なのである。すべての草の根や茎、枝や葉、華や果は光照らしているが、この光は他から与えられたり奪ったりしたものではなく、自身の輝きなのである。草だけでなく、迷いの世界である天上・人間・畜生・餓鬼・地獄の五道全てが光明であり、修羅を加えた六道も全て光明である。このように色々様々な光明が既にあるというのに、ここをどこだと思って光を説き明を説くというのかと道元さんは締めくくっています。
今回は韓愈を通じて仏の光明とは、単に目に見える可視光線のことではなく、この世のあらゆる存在が光明であると、道元さんは拈提されていましたが、ご老師も今回のご提唱の前に、光明とは仏が放つ有難いものばかりではなく、どこにも光は充満しており、この世の全てのものが光明なのであると言われていました。
昨年からご提唱をいただいた「空華」の巻では、空華とは目に浮かぶ幻ではなく、この世の全てのものが空華であるということでした。「光明」の巻でも青・黄・赤・白の可視光線だけが光明なのではなく、あらゆる存在が光明なのであると示されています。ここに「空華」の巻と「光明」の巻に共通する考え方が伺える次第です。


五十嵐年番幹事からのお知らせ

img_2904.jpg-1.jpg・12月6日(日)午前9時から第38回成道会が行われます。現在の参加希望者は28名です。参加者は午前8時45分までに来山してください。今回は中食がないので無料です。法要の後、ご老師との問答がありますので、ご老師への質問を考えておいてください。なお、ご老師が導師をお勤めになられるのは今回が最後となります。
             成道会の差定>>
・12月13日(日)午後1時から午後3時まで歳末助け合い托鉢を柏駅東口デッキで行います。現在の参加希望者は13名です。参加者は12時半までに長全寺に集合してください。
・12月の定例参禅会(12月27日)の後に大掃除を行います。ご都合の良い方はご協力をお願いいたします。


小畑代表幹事からのお知らせ

・第38回成道会には是非多くの方がご参加されることを希望しています。ご老師との問答は今年が最後となりますので質問を考えておいてください。
・新型コロナ対策として坐禅堂の換気を行うため、窓を少し開けておきます。正しい姿勢で呼吸を調えて坐っていますと身体が温まってきますが。それでも12月からはひざ掛けなどをご用意された方が良いと思います。
・『曹洞禅グラフ』№155にご老師のインタビュー記事が掲載されています。ご老師が普段考えておられる事柄が書かれていますので、ご一読下さい。(『曹洞禅グラフ』№155は大悲殿の玄関に置いてありますのでご自由にお持ち帰り下さい)
                              曹洞禅グラフ>>


ご老師からのお知らせ

・一昨日の作務では重い家具を庫裏から東堂に運んでいただきました。運んでくださった方々に感謝申し上げます。
・歳末助け合いの托鉢には準備のため大勢の方のお力をお借りしています。私も長全寺さんに駐車場をお借りするのに文書で許可を受けたり、その語のお礼もしています。
・新型コロナウィルスの感染拡大が続いています。ウィルスは容易に変異するので対策が追い付かないようで、先行き見えない状況です。

今月の司会者 中原 悦雄
今月の参加者 23名
来月の司会者 山桐 照夫

最終更新日 ( 2020/11/24 火曜日 18:00:20 JST )
 
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