令和二年一〇月定例参禅会報告 プリント

 今月の提唱

『正法眼藏』「光明」の巻(3)

img_2886-1.jpg光明の相逢を厭却するゆゑに、光明と光明と、轉疎轉遠なり。この疎遠たとひ光明なりとも、疎遠に●(寧+頁)礙せらるるなり。
轉疎轉遠の臭皮袋おもはくは、佛光も自己光明も、赤白青黄にして、火光水光のことく、珠光玉光のことく、龍天の光のことく、日月の光のことくなるへしと見解す。或從知識し、或從経卷すといへとも、光明の言教をきくには、螢光のことくならんとおもふ、さらに眼睛頂●(寧+頁)の参學にあらす。漢より隋唐宋およひ而今にいたるまて、かくのことくの流類おほきのみなり。文字の法師に習學することなかれ、禅師胡亂の説、きくへからす。
いはゆる佛祖の光明は、盡十方界なり、盡佛盡祖なり、唯佛與佛なり。佛光なり、光佛なり。佛祖は佛祖を光明とせり。この光明を修證して、作佛し、坐佛し、證佛す。このゆゑに此光照東方萬八千佛土の道著あり。これ話頭光なり。此光は佛光なり、照東方は東方照なり。東方は彼此の俗論にあらす、法界の中心なり、拳頭の中央なり。東方を罣礙すといへとも、光明の八兩なり。此土に東方あり、他土に東方あり、東方に東方ある宗旨を参學すへし。萬八千といふは、萬は半拳頭なり、半即心なり。かならすしも十千にあらす、萬萬百萬等にあらす。佛土といふは、眼睛裏なり。照東方のことばを見聞して、一條白練去を東方えひきわたせらんかことくに、憶想参學するは、學道にあらす。盡十方界は、東方のみなり、東方を盡十方界といふ、このゆゑに盡十方界あるなり。盡十方界と開演する話頭、すなはち萬八千佛土の聞聲するなり。
唐憲宗皇帝は、穆宗、宣宗、兩皇帝の帝父なり。敬宗、文宗、武宗、三皇帝の祖父なり。佛舎利を拝請して、入内供養のちなみに、夜放光明あり。皇帝大悦し、早朝の群臣、みな賀表をたてまつるにいはく、陛下の聖徳聖感なり。
ときに一臣あり、韓愈文公なり。字は退之といふ。かつて佛祖の席末に参學しきたれり。文公ひとり賀表せす。憲宗皇帝宣問す、群臣みな賀表をたてまつる、卿なんそ賀表せさる。文公奏對す、


今月の所感

img_2892-1.jpg今月の「光明」の巻のご提唱では、冒頭にご老師から「光明」の巻は何を伝えようとしているのかについて、次のようなご説明がありました。
光明というものは、ただ光だということではなく、ありとあらゆるものが光明であり、光明に照らされているものも、また光明を発している存在である。
このような「光明」の巻のコンセプトをお聞きすると、『華厳経』の思想に近いように思えます。『正法眼蔵』は『法華経』を主題とする諸巻が多く見受けられますが、「三界唯心」などのように『華厳経』に主題を求めたものもあります。最近ご提唱をいただいた「海印三昧」や「空華」の巻は華厳経を反映していましたが、今回の「光明」の巻もそのような一つだと思われます。『正法眼蔵』を読むにあたっては、『法華経』や『華厳経』の素養が必要であることを改めて感じさせられました。
今月のご提唱の前半部分では、光明を赤色や青色、あるいは陽の光や月の光、あるいは蛍の光など、目で見える具体的な事象としてしか把握できない連中がいかに多いかが縷々述べられています。
道元禅師は仏教の光明というものは、一切世界そのものであり、一切は仏祖そのもであり、佛から佛に伝えられたものである。仏祖は仏祖を光明としており、光明を修証し、佛となり、佛として坐禅し、佛としての悟を現成している。その故に、「この光は東方の一万八千佛土を照らす」という言葉もあるのだと述べておられます。因みにこの言葉は『法華経』序品の頌に見える語句、「眉間光明 照于東方 萬八千土 皆如金色」によるものです。
img_2891-1.jpgここに東方を照らすとありますが、「東方」と言っても世間でいう方角のことではないのです。東方を照らすという言葉を聞いて、何か一条の白絹が東の方にずっと渡っているかのように想像するのは、本当の仏教の学び方ではない。一切世界がことごとく東方であり、東方をもって一切世界のことごとくを語るのであると道元禅師は指摘されています。
このように、佛の教えについて我々の常識的な解釈と道元禅師の解釈との間には、大きな隔たりや壁があるように観じさせられます。『正法眼蔵』を読むにあたっては、しっかりと坐禅に打ち込み、頭の中を空にして壁を取り除いておく必要がありそうです。
次に唐の時代の韓愈が登場してきます。韓愈(768~824)は唐代中期を代表する文人・士大夫で、字は退之といいます。792年に進士に及第し、監察御史、中書舎人、刑部侍郎などを歴任しました。819年に『論仏骨表』を崇仏皇帝の憲宗に奉って、仏舎利をあがめる憲宗を諌めたため、憲宗の逆鱗に触れ、潮州(広東省)刺史に左遷されました。
「光明」の巻でもこの後、韓愈が憲宗の逆鱗に触れる場面が述べられていますが、詳しくは次回に報告いたします。


五十嵐年番幹事からのお知らせ

・12月6日(日)午前9時から第38回成道会が行われます。参加者は午前8時45分までに来山してください。今回は中食がないので無料です。法要の後、ご老師との問答がありますので、ご老師への質問を考えておいてください。なお、ご老師が導師をお勤めになられるのは今回が最後となります。
                                              成道会のご案内>>
・12月13日(日)午後1時から午後3時まで歳末助け合い托鉢を柏駅西口で行います。参加者は12時半までに長全寺に集合してください。

小畑代表幹事からのお知らせ

・第38回成道会には是非多くの方がご参加されることを希望しています。ご老師との問答は今年が最後となります。
・歳末助け合いの托鉢は100円の重みを実感できる修行の場です。一人でも多くの方が参加されることを望みます。

ご老師からのお知らせ

・成道会は一年を締めくくる修行の集大成の場です。問答では住職を慌てさせるような質問を是非発してください。成道会に参加された方には正法寺のカレンダーをお配りいたします。
・歳末助け合いの托鉢は下手な坐禅よりも修行になります。こまっている人へ浄財をお届けするお手伝いができる機会ですので、一人でも多くの方が参加されることを希望します。
・大悲殿の玄関にある本はご自由にお持ちください。
・庫裏から東堂へ家具を移動し整理しています。余分な本棚やパソコンがいくつか出てきましたので、ご希望の方はお知らせください。


今月の司会者 川村 拓也
今月の参加者 23名
来月の司会者 中原 悦雄







最終更新日 ( 2020/11/24 火曜日 16:52:23 JST )
 
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