令和二年六月定例参禅会報告 |
![]() |
今月の提唱『正法眼藏』「空華」の巻(9)![]() 大宋国福州芙蓉山霊訓禅師、初参帰宗寺至眞禅師而問、如何是佛。帰宗云、我向汝道、汝還信否。師曰、和尚誠言何敢不信。帰宗云、即汝便是。師曰、如何保任。帰宗云、一瞖在眼、空華乱墜。 いま帰宗道の一瞖在眼空華乱墜は、保任佛の道取なり。しかあれはしるへし、瞖華の乱墜は諸佛の現成なり、眼空の華果は諸佛の保任なり。瞖をもて眼を現成せしむ、眼中に空華を現成し、空華中に眼を現成せり。 今月の所感今月の「空華」のご提唱は、張拙秀才が石霜慶諸の下で悟った時の頌、「光明寂照徧河沙、凡聖含靈共我家。一念不生全體現、六根纔動被雲遮。斷除煩惱重增病、趣向真如亦是邪。隨順世緣無罣礙、涅槃生死是空華。」の最後の句「涅槃生死是空華」についての拈提からです。佛祖やその弟子たちの住する涅槃という最高・最上の悟りも、生死を繰り返す凡人の煩悩にまみれたあるがままの相も、ともに空華である。空華といっても根も茎も枝も葉もあり、果を結び、種子も蒔くのであると示されています。 ![]() 因みに「不如三界見於三界」という語は、『妙法蓮華經』卷5「如來壽量品」の中の、「如來如實知見、三界之相,無有生死。若退若出,亦無在世及滅度者。非實非虛,非如非異,不如三界、見於三界。」に見られる語です。 張拙の頌に対する拈提が終わり、次に三人の佛祖の空華にかかわる言葉が紹介されています。最初は晩唐に活躍した芙蓉霊訓禅師とその師にあたる帰宗智常禅師との問答です。これは『景徳傳燈録』巻10の霊訓の章によるものです。帰宗智常は馬祖道一の法嗣で、従って霊訓は馬祖の孫弟子にあたります。 以下は霊訓禅師が帰宗寺の至眞禅師に見えた時の問答です。 霊訓「仏とは一体どんなものでしょうか」 帰宗「では言って聞かせよう、そなたはわしの言うことを信じるか」 霊訓「和尚さまの仰ることは誠のことです、なんで信じないことがありましょうか」 帰宗「では言うが、そなたがとりもなおさず仏である」 霊訓「それをどのように身につけたらよいのでしょうか」 帰宗「すこしでも眼がかすめば、空華は乱れ散る」 以上の問答から、道元禅師は、この帰宗の「すこしでも眼がかすめば、空華は乱れ散る」という言葉は、佛の境地にある人の言葉である。従って眼がかすんで空華が乱れ散るということは、そこに佛があらわれていることになると示されています。 これは世間の常識にとらわれた見方を止め、一度すべてを無に帰することにより、空華があらわれるのが実感できれば、その人は佛であると言えるのではないかと思いますが・・・・ 五十嵐年番幹事からのお知らせ・曹洞宗公式ポータルサイト『曹洞禅ナビ』に龍泉院の情報が登録されました。『曹洞禅ナビ』は曹洞宗寺院の基本情報の提供と各寺院の布教教化活動を支援するものです。例えば『曹洞禅ナビ』で坐禅を検索すると、坐禅指導をしている全国の寺院がリストアップされます(県を限ることもできます)。リストアップの順は新しく登録された順になっていますから、龍泉院がトップに挙がることもあります。『曹洞禅ナビ』はこちらから>> ・今年も8月16日(日)に龍泉院施食会が行われます。午前中は本堂の飾り付け、午後からは駐車場整理と本堂での参加者対応です。また台所で茶菓やお弁当の準備作業などがあります。お手伝いできる方は申込用紙にお名前を記入してください。ご協力をお願いします。 ご老師からのお知らせ・延期となっていた「弁栄展」が、令和2年5月27日(水)から令和2年9月30日(水)まで、柏市郷土史料展示室(柏市沼南庁舎2階)で開催されています。龍泉院から史料が4点出展されています。参観者が少ないようです、お時間のある方は参観してください。「弁栄展」はこちらから>> ・坐蒲が届きました。新型コロナの影響で注文してから3ヶ月以上たってようやく届きました。まだ二つ余っていますのでご希望の方はお知らせください。 今月の司会者 五十嵐嗣郎 今月の参加者 21名 来月の司会者 近江 玲子 |
|
最終更新日 ( 2020/06/29 月曜日 19:40:25 JST ) |
< 前へ | 次へ > |
---|