令和元年六月定例参禅会報告 プリント

今月の提唱

『正法眼藏』「海印三昧」の巻(5)

img_1872-1.jpgすでに前法の滅なり、後法の滅なり。法の前念なり、法の後念なり。為法の前後法なり、為法の前後念なり。不相待は為法なり、不相対は法為なり。不相対ならしめ、不相待ならしむるは、八九成の道得なり。滅の四大五蘊を手眼とせる、拈あり収あり。滅の四大五蘊を行程とせる、進歩あり相見あり。このとき、通身是手眼還是不足なり。遍身是手眼還是不足なり。
おほよそ滅は、仏祖の功徳なり。いま不相対と道取あり、不相待と道取あるは、しるべし起は初中後起なり。官不容針私通車馬なり。滅を初中後に相待するにあらず、相対するにあらず。従来の滅処に忽然として起法すとも、滅の起にはあらず、法の起なり。法の起なるゆえに、不対待相なり。また、滅と滅と相待するにあらず、相対するにあらず。滅も初中後滅なり。相逢不拈出、挙意便知有なり。従来の起処に忽然として滅すとも、起の滅にあらず法滅なり。法の滅なるがゆえに不相対待なり。たとひ滅の是即にもあれ、たとひ起の是即にもあれ、但以海印三昧名為衆法なり。是即の修証はなきにあらず、只此不染汚名為海印三昧なり。
三昧は現成なり、道得なり、背手摸枕子の夜間なり。夜間のかくのごとく背手摸枕子なる、摸枕子は億億万劫のみにあらず、我於海中、唯常宣説妙法華経なり。不言我起なるがゆえに、我於海中なり。前面も一波纔動萬波隨なる常宣説なり、後面も萬波纔動一波隨の妙法華経なり。


今月の所感

img_1875-1.jpg今月のご提唱の初めの部分に、
すでに前法の滅なり、後法の滅なり。法の前念なり、法の後念なり。為法の前後法なり、為法の前後念なり。不相待は為法なり、不相対は法為なり。
とあります。
前法とか後法とか、法について述べられていますが、ここでの法とは前回でも記しましたように、存在するありとあらゆるもの、という意味です。
この初めの箇所を現代語訳すると、
前法の滅するときは、ただそれだけ、後法の滅するときは、ただそれだけ。法の前念のときも、ただそれだけ、法の後念のときも、ただそれだけ。法には前法・後法があるが、前法のときはただ前法だけ、後法のときはただ後法だけである。前法・後法は互いに関係し合わないのが法である。
となります。
法には前法・後法があるが、前法のときはた前法だけ、後法のときは後法だけで、互いに関係しないという考えは、「現成公案」の巻に、
たき木、はいとなる、さらにかへりてたき木となるべきにあらず。しかあるを、灰はのち、薪はさきと見取すべからず。しるべし、薪は薪の法位に住して、さきあり、のちあり。前後ありといへども、前後際断せり。灰は灰の法位にありて、のちあり、さきあり。
とあるのと、ぴったり符合するものです。
次に中ほどに面白い言葉が出てきます。「官不容針私通車馬」<官には針をも容れず、私には、車馬をも通ず>。
img_1871-1.jpgこの語句は曹山と鏡清との問答の中で曹山が語った言葉です。意味は、公けには針をも通さないほど峻厳でも、裏口からは馬車をも通すほどツーカーであるということです。建前と本音とは大きく異なっていることです。建前と本音が大きく異なるのは、どの時代にもどこの世界にも見られることなんですね。
今回のご提唱で「官不容針私通車馬」が使われているのは、
しるべし起は初中後起なり。官不容針私通車馬なり。
とあります。その意味は、
起には初に起こり、中間に起こり、後に起こり、初・中・後は互いに関係しないというのが建前になっているが、目覚の心を持っている人には初・中・後すべてに通じていることを知るべきである。
となります。
終わりに「一波纔動萬波隨」<一波纔かに動ずれば、萬波隨う>という語句があります。
この語句は『聯灯会要』巻19の秀州華亭船子德誠禅師章にある船子德誠の偈の語句です。
千尺絲綸直下垂、一波纔動萬波隨。夜靜水寒魚不食、滿舡空載月明歸。
この偈を公案として取り上げた語録は、『明學禅師語録』や『圓悟佛果禅師』など非常に多く見受けられ、日本でも瑩山紹瑾禅師の『坐禅用心記』に、
一波纔動萬波隨來、心識才起萬法競來。
という語句が見られます。
この語句の意味は、ほんの小さな動きでも、正しいものならば継続して行くうちに、世界を動かすことになる、という意味です。我々の小さな参禅会でも、継続して行くうちに、坐禅を全世界に弘めることになる、という気概を持って活動しています。
img_1876-1.jpg因みに今日のご老師の口宣は奇しくも『坐禅用心記』にあるお言葉でした。
思量箇不思量底、如何思量、謂非思量、是乃坐禅要法也。
ご老師によれば「海印三昧」の巻の難しいところは今月の提唱のところまでで、来月からはわかりやすくなるとのことでした。とにかく今月も「海印三昧」の言わんとしていることを理解することは、到底できませんでした。


刑部年番幹事からのお知らせ

・一日接心の参加者は33名でした。
・8月16日(金)に施食会大法要があります。来月の参禅会でお手伝いに参加できるかお聞きいたします。

小畑代表幹事からのお知らせ

・一日接心には自由参禅に来られている方が多く参加されました。自由参禅が重要な場となってきました。
・ご老師が永平寺の眼蔵会で「坐禅箴」の巻のご提唱をなされました。


ご老師からのお知らせ

・永平寺での7泊8日の眼蔵会が無事終了しました。眼蔵会では典座さんが食事に気を配ってくださいましたので、体調がよくなりました。
・眼蔵会の雰囲気は非常に厳粛で、提唱中に冗談を言っても皆さんちっとも笑わないのです。多分そのように指導されているのかもしれません。

今月の司会者 霜崎 美穂
今月の参加者 28名
来月の参加者 齋藤 正好




最終更新日 ( 2019/06/26 水曜日 14:46:33 JST )
 
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