平成三一年四月定例参禅会報告 プリント

今月の提唱

『正法眼藏』「海印三昧」の巻(3)

img_1798-1.jpg起時唯法起。この法起かつて起をのこすにあらず。このゆえに起は知覺にあらず知見にあらず、これを不言我起といふ。我起を不言するに、別人は此法起と見聞覺知し思量分別するにはあらず。さらに向上の相見のとき、まさに相見の落便宜あるなり。
起はかならず時節到来なり、時は起なるがゆえに。いかならんかこれ起なる、起也なるべし。すでにこれ時なる起なり、皮肉骨髄を獨露せしめずといふことなし。起すなはち合成の起なるがゆえに、起の此身なる、起の我起なる、但以衆法なり。
聲色と見聞するのみにあらず、我起なる衆法なり、不言なる我起なり。不言は不道にはあらず、道得は言得にあらざるがゆえに。起時は此法なり十二時にあらず。此法は起時なり三界の競起にあらず。


今月の所感

img_1793-1.jpg今月のご提唱は『維摩経』にある「起時唯法起。此法起時、不言我起」の箇所について道元禅師が拈提されている所です。
初めに「この法起かつて起をのこすにあらず」とあります。つまり法が起こるということは決して法が起こったという足跡を残さない。そして「このゆえに起は知覺にあらず知見にあらず」、法が起こるということは、知覚されないし知見されないものだと示されています。だから「不言我起」となる。即ち我は起こるということを知覚・知見するとは言わないし、まして別の人が法の起こることを見聞覚知したり、思慮・分別したりすることはないと示されているのです。
今月の「海印三昧」の提唱の初めの部分は、この様な事が述べられていますが、本当のところ、ご老師のご提唱を拝聴していてもよく理解できないところです。
次に「起はかならず時節到来なり、時は起なるがゆえに」とありますが、これは「有時」の巻にある「時すでにこれ有なり、有はみな時なり」と共通するところです。時とは法が起こることであり、有るということが時なのであるという、道元禅師の時に関する独特の思考が示されている所です。この箇所は何となく理解できました。
img_1786-1.jpg続いて法が起こることについて、「いかならんかこれ起なる、起也なるべし」とありますが、これは『景徳伝灯録』巻十七の曹山章に基づいて示されたものです。
問う、「承るに古へ言へること有り、未だ一人も地に倒れて地に因って起きざるは有らずと。如何是倒」。師(曹山本寂)曰く、「肯すれば即ち是なり」。曰く、「如何是起」。師曰く、「起也」。
「起とはいったいどういうことでしょうか」との問いに対して、曹山は「(そういう問いを起こしたことが)起だ」と答えられたのです。道元禅師はこの曹山本寂の言葉を用いて「法起」をお示しになられています。
今月のご提唱の後半に、「不言は不道にはあらず、道得は言得にあらざるがゆえに」という文句があり、不言は不道とは異なるものだと示されているのです。「不言(言わない)」は決して「不道(言えない)」ではないのである。なぜならば「道得(真実を過不足なく表現すること)」と、たんに「言得(言葉でいうこと)」とは、まったく異なるからなのです。
img_1792-1.jpgある事柄について、坐禅をしっかりと行い仏道を体得した人が述べられることと、たんに仏教の書物を読んで話されたものとは、まったく異なるものであるということは、よく理解できることです。
この様に今月の「海印三昧」の巻については、ところどころ理解するところがありますが、全体を理解するのは非常に難しいと感じています。正直、ご老師のご提唱を拝聴していても、いまいち理解できませんでした。
ご老師が日頃、難題に対しては「全身全霊でぶつかってゆく」ことが必要だとよく言われるています。そのためにはまずしっかりと坐ることが必要かと思う次第です。

刑部年番幹事からのお知らせ

・6月2日(日)に「一日接心」(別紙参照)が行われます。今年から宿泊することがなく、しかも希望する時間から参加できるようにしましたので、奮ってご参加ください。現在参加希望者は22名です。なお、参同契と宝鏡三昧のご講義がありますので、『やさしく読む参同契・宝鏡三昧』をご持参ください。
   「一日接心」のご案内>>
・茶話会の後に筍堀がありますが、筍を入れる袋は用意してあります。持ち帰った袋は洗って来月の参禅会の時に返却して下さい。


小畑代表幹事からのお知らせ

・「一夜接心」は今年から「一日接心」となりました。参加しやすくなりましたので奮ってご参加ください。
・ご老師がご提唱する時の演壇を杉浦さんが造ってくださいました。

ご老師からのお知らせ

img_1789-1.jpg・杉浦さんが演壇を造ってくださいました。しっかりと講義をやれとの叱咤激励かと思います。
・大悲殿の玄関の棚にある配布物はご自由にお持ち帰りください。
・今年から始まる「一日接心」には皆様が奮ってご参加されることを期待しています。
・筍は雨不足でいつもの2割ほどしか出ていません。人の掘っている所を覗き込んだりしてお怪我などをなさらないようにご注意ください。

今月の司会者 青田 英雄
今月の参加者 38名
来月の参加者 市川 信彦


最終更新日 ( 2019/05/20 月曜日 15:29:27 JST )
 
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