平成三一年三月定例参禅会報告 プリント

今月の提唱

『正法眼藏』「海印三昧」の巻(2)

佛言、但以衆法、合成此身。起時唯法起、滅時唯法滅。此法起時、不言我起、此法滅時、不言我滅。前念後念、念念不相待。前法後法、法法不相對。是即名為海印三昧。
この佛道を、くはしく参學功夫すへし。得道入證は、かならすしも多聞によらす、多語によらさるなり。多聞の廣學は、さらに四句に得道し、恒沙の徧學、つひに一句偈に證入するなり。いはんやいまの道は、本覺を前途にもとむるにあらす、始覺を證中に拈来するにあらす。おほよそ本覺等わ現成せしむるは、佛祖の功徳なりといへとも、始覺本覺等の諸覺を佛祖とせるにはあらさるなり。
佛言、但以衆法、合成此身。起時唯法起、滅時唯法滅。此法起時、不言我起。此法滅時、不言我滅。前念後念、念念不相待。前法後法、法法不相對。是即名為海印三昧。
いはゆる海印三昧の時節は、すなはち但以衆法の時節なり、但以衆法の道得なり。このときを合成此身といふ。衆法を合成せる一合相、すなはち此身なり。此身を一合相とせるにあらす、衆法合成なり。合成此身を此身と道得せるなり。


今月の所感

「海印三昧」の巻は大変難しい『正法眼藏』の中でもとりわけ難解な巻として有名です。何が難しいかといえば、まず難しい言葉が非常に多いこと。次に語られている思想がこれまた大変難しいからです。
このことからご老師もこれまで「海印三昧」のご提唱を後回しにされて来ましたが、永平寺の眼蔵会でこの秋には海印三昧」をご提唱することになりましたので、プレ講義として先月から取組が始まりました。
今月のご提唱の冒頭の漢文は『維摩経』「文殊師利問疾品」を引用した『天聖広灯録』馬祖章からとられたものです。意訳しますと、
釈尊が仰るには、「ただ地水火風等の諸要素がこの身心を構成しているばかりである。この身心が生ずる時は、ただ諸要素が生ずることであり、身心が滅する時は、ただ諸要素が滅することである。でもこの諸要素が生ずる時を我が現れるとは言わない。この諸要素が滅する時を我が滅するとは言わない」と。過去の心も、現在の心も、未來の心も、それじれが対立することがなく、過去における諸要素も、未來における諸要素も、それぞれが対立することがない。(因みに道元禅師も「現成公案」の巻で、「たきぎ、はいとなる、さらにかへりてたきぎとなるべきにあらず。しかあるを、灰はのち、薪はさきと見取すべからず。しるべし、薪は薪の法位に住して、さきあり、のちあり。前後ありといへども、前後際断せり。」と、同じことを述べられています)。このような境地を海印三昧と名付けるのである。
次に道元禅師は仏道を参学し仏道を覚るには、必ずしも多くの教を聞くことを必要とせず、多くの言葉を必要としないと述べられています。例えば多くの教を聞き広く学んだ舎利弗は、五比丘の一人である可説示のたった四行の偈(諸法因縁生、是法説因縁、是法因縁盡、大士如是説)を聞いて覚りを開いたし、カンジス河の砂の数ほどの文字を学びつくした人も、たった一行の偈を聞いて覚りに入ったと言われている。だから本覚思想とか始学思想とかこむづかしいことに振り回されないことであると道元禅師はコメントされています。
その上で、「海印三昧」が現れる時は、一切の諸要素でもって生じるのであり、自己の正体は一切の諸要素でもって生じているという真実を表現しているのである。だから、諸要素の合成した一つの形がこの身であるが、この身は一つのまとまり完結した形であると受け止めてはならない。
様々な要素の寄り集まりが、わが身自身であると受け止めなければならないと道元禅師はお示しになられていますが、要はこの煩惱にまみれたわが身を、そっくりそのまま自分の真実であると受け入れることだと思う次第です。


刑部年番幹事からのお知らせ

・4月8日(月)午後2時から降誕会(花まつり)が行われます。現在参加希望者は13名です。配役は維那は杉浦、先導は小畑代表、副堂は五十嵐、侍者は小畑(二)、侍香は原の各氏にお願いします。
・4月28日(日)の定例参禅会では、午前8時半からご老師による坐禅指導が行われます。8時半を過ぎると大悲殿の鍵を掛けますので、遅れた方は坐禅堂にお越しください。
・4月の定例参禅会の茶話会の後に筍堀があります。参加する人は軍手や足元のしっかりした靴をご用意ください。なお、スコップやクワがある人はご持参ください。筍を入れる袋は用意してあります。
・坐禅堂で自分専用のスリッパを希望される方は足音のたたないフェルト製のスリッパをご用意ください。因みに坐禅堂にあるフェルト製のスリッパは5000円程度します。


河本坐禅普及委員からのお知らせ

・毎月第一日曜日と第二土曜日の午前9時から自由参禅を行っています。毎回10名程度参加されています。

岡本明珠編集委員長からのお知らせ

・『明珠』71号が発行されました。原稿をお寄せくださいました方にはお礼を申し上げます。今後とも原稿のご協力をお願いいたします。

小畑代表幹事からのお知らせ

・2月15日(金)に行われました涅槃会には13名の方がご参加されました。
・『明珠』71号が発行されました。編集委員の方はご苦労様でした。
・永平寺発行の『傘松』に第113次眼蔵会(前期)開催のお知らせがあり、聴講希望の方は永平寺布教係まで連絡するよう記されていました。


ご老師からのお知らせ

・4月の筍堀はしっかりとした履物と汚れてもよい服装をご用意ください。4月末では伸びすぎているかもしれません。4月8日の降誕会の時ははしりが出るかもしれません。
・廊下の本棚には仏教関係の図書が揃っています。貸出も行っています。翌月の参禅会には返却してください。
・大悲殿の玄関の棚にある配布物はご自由にお持ち帰りください。
・『明珠』71号発行に際して編集委員の方は何度も編集会議をやられていました。
・春先には色々な病にかかる場合がありますのでご注意ください。

今月の司会者 門脇 弘
今月の参加者 35名
来月の参加者 青田 英雄


最終更新日 ( 2019/04/03 水曜日 11:12:50 JST )
 
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