平成三〇年一二月定例参禅会報告 プリント

今月の提唱

『正法眼蔵』「佛經」の巻(8)

img_1629.jpg-1.jpg孔老の教は、わつかに聖人の視聴を天地乾坤の大象にわきまふとも、大聖の因果を一生多生にあきらめかたし。わつかに身心の動静を無為の為にわきまふとも、盡十方界の眞實を無盡際斷にあきらむへからす。
おほよそ孔老の教の佛教よりも劣なること、天地懸隔の論におよはさるなり。これをみたりに一揆に論するは、謗佛法なり、謗孔老なり。たとひ孔老の教に精微ありとも、近来の長老等いかにしてかその少分をもあきらめん。いはんや萬期に大柄をとらんや、かれにも教訓あり修練あり。いまの庸流たやすくすへきにあらす、修しこころむるともからなほあるへからす。一微塵なほ佗塵に同すへからす、いはんや佛經の奥玄ある、いまの晩進いかてか辨肯することあらん。両頭ともにあきらかならさるに、いたつらに一致の胡説亂道するのみなり。
大宋いまかくのことくのともから、師號に署し師職にをり、古今に無慚なるをもて、おろかに佛道を亂辨す。佛法ありと聴許しかたし。かくのことくの長老等、かれこれともにいはく、佛経は佛道の本意にあらす、祖伝これ本意なり。祖伝に奇特玄妙つたはれり。
かくのことくの言句は、至愚のはなはたしきなり、狂顛のいふところなり。たたし祖伝は、嫡嫡相承せるのみなり。しかあれとも佛経をいかてかしらさらん、いかてかあきらめさらん、いかてか讀誦せさらん。
古徳いはく、なんち経にまとふ、経なんちをまよはさす。
古徳看経の因縁おほし。
杜撰にむかふていふへし、なんちかいふかことく、佛経もしなけすつへくは、佛心なけすつへし、佛身もなけすつへし。佛身心なけすつへくは、佛子なけすつへし。佛子なけすつへくは、佛道なけすつへし。


今月の所感

img_1647.jpg-1.jpg今年最後の月例参禅会ですが、今月からは大悲殿での『正法眼蔵』のご提唱を、これまでの畳に坐って拝聴すれのではなく、学校の教室のように、椅子に坐って拝聴するようになりました。畳に坐ることができなかった人にとっては、うれしい対応です。
今月の「佛經」の巻は、先月に続いて三教一致説についての批判が展開されています。最初に、孔子の儒教や老師の道教の教えは仏教に比べれば天地ほどの開きがあり、到底仏教にはかなわないものである。それなのに儒教・道教・仏教の三教一致を説くことは、仏法を誹謗するだけではなく、儒教や道教をも誹謗することになるのだと述べられています。
さらに、このような連中は、仏教はもちろん儒教や道教もあきらかにすることができないのに、三教一致というでたらめな議論をもてあそんでいるのだと、道元禅師は語気鋭く批判しています。
また、三教一致を説く人達は、「佛経は佛道の本意にあらす、祖伝これ本意なり。祖伝に奇特玄妙つたはれり」と、仏経をないがしろにするようなことを言っていると指摘されています。
道元禅師はこのように仏経をないがしろにする考え方に対して、「祖師の正伝に、またく一言半句としても佛経に違せる奇特あらさるなり。佛経と祖道と、おなしくこれ釋迦牟尼佛より、正伝流布しきたれるのみなり」と、厳しく反論されています。
最後に「古徳いはく、なんち経にまとふ、経なんちをまよはさす」とありますが、これは六祖慧能が弟子の法達に教えた故事です。この故事は「看経」や「法華転法華」の巻にも見えますが、出典は『景徳伝燈録』巻五の法達の章によるものです。
法達は七歳の時に出家しました。六祖慧能に参じた時、慧能に対してきちんとした礼儀をしないで、無礼にも「法華経を念じて已に三千部に及ぶ」と豪語したのですが、慧能から
心迷法華轉、心悟轉法華。
《心迷は法華に轉ぜられ、心悟は法華を轉ず》
誦久不明己、與義作讐家。
《誦ずること久しくして己を明らめず、義と讐家と作る》
無念念即正、有念念成邪。
《無念なれば念は即ち正なり、有念なれば念は邪と成る》
有無倶不計、長御白牛車。
《有無倶に計せざれば、長に白牛車に御らん》
という偈を与えられ、法達はすっかり慧能に打ち負かされてしまいました。
すっかり慧能に心服した法達はこの偈を聞いて、「經にいはく、諸大謦聞、乃至菩薩、皆思ひを盡して度量するも、尚ほ佛智を測ること能はざらんと。今凡夫をして但だ自心を悟らしめんを、便ち佛之知見と名つけん。上根に非すよりは、未だ疑謗を免れざらん。又經に三車を説くに、大牛之車と白牛車と、如何が區別せん。願はくは和尚、再ひ宣説を垂れたまへ」と慧能に懇願しました。
すると慧能は、「經意は文明なれども、汝、自ら迷背す」と諭されました。この句が「古徳いはく、なんち経にまとふ、経なんちをまよはさす」なのです。

img_1648.jpg-1.jpg「佛經」の巻のご提唱の後、茶話会となり、来年の年番幹事に刑部さんと吉澤さんが担当することが報告されました。小山さん、佐藤さん、一年間年番幹事ご苦労さまでした。刑部さん、西沢さん、よろしくお願い致します。
茶話会の後、大掃除に取り掛かりました。本堂、大悲殿、坐禅堂、境内の4班に分かれて約一時間掃除作務にあたりました。大掃除の後には大黒様お手製のお雑煮をいただきました。掃除で冷えた体にお雑煮の温かさが染みてきました。


佐藤年番幹事からのお知らせ

・来年1月の自由参禅会は1月6日(日)と12日(土)です。作務は1月12日(土)と18日(金)です。

刑部さんからのお知らせ

・来年の新年会は2月3日(日)に行います。

小畑代表幹事からのお知らせ

・小山さん、佐藤さん、一年間年番幹事ご苦労様でした。刑部さん、吉澤さん、来年一年間よろしくお願い致します。
・45周年記念事業の一環として、ご老師には大変なご苦労をお掛けしましたが、『やさしく読む参同契・宝鏡三昧』が出版されました。成道会には26名の方が参加されました。歳末助け合い托鉢には13名の方が参加され、集まった浄財は54136円でした。全額を朝日新聞厚生文化事業団に寄付致しました。
・中嶌さんがご近所の方と坐禅会を始めました。イス坐禅で第1・3日曜日の午前9時から行っています。
・大掃除の後には、大黒様からお雑煮が用意されています。

ご老師からのお知らせ

・『やさしく読む参同契・宝鏡三昧』を両本山に雲水と役寮さんの人数分送りました。大法輪閣から再版するとの報告がありましたので、訂正箇所をお知らせしました。再版部数は600部です。
・来年も参禅会は勤めて参ります。

今月の司会者 添田 昌弘
今月の参加者 29名
来月の司会者 岡本 匡房




最終更新日 ( 2018/12/27 木曜日 18:11:40 JST )
 
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