平成三〇年一一月定例参禅会報告 プリント

今月の提唱

『正法眼蔵』「佛經」の巻(7)

img_1547.jpg-1.jpg雲門は雪峰の門人なり。人天の大師に堪為なりとも、なほ學地といふつへし、これらをもて得本とせん、たたこれ愁末なるへし。臨済いまたきたらす、雲門いまたいてさりしときは、佛祖なにをもてか學道の標準とせし。かるかゆゑにしるへし、かれらか屋裏に、佛家の道業つたはれさるなり。憑據すへきところなきかゆゑに、みたりにかくのことく胡亂説道するなり。このともから、みたりに佛経をさみす、人これにしたかはされ。もし佛経なけすつへくは、臨済雲門をもなけすつへし、佛経もしもちゐるへからすは、のむへき水もなく、くむへき杓もなし。
また高祖の三路五位は節目にて、杜撰のしるへき境界にあらす。宗旨正伝し、佛業直指せり、あへて餘門にひとしからさるなり。
また杜撰のともからいはく、道教儒教釋教ともにその極致は一揆なるへし、しはらく入門の別あるのみなり。あるひはこれを鼎の三脚にたとふ。これいまの大宋国の諸僧のさかりに談するむねなり。もしかくのことくいはは、これらのともからがうへには、佛法すてに地をはらふて滅没せり、また佛法かつて微塵のことくはかりもきたらすといふへし。かくのことくのともから、みたりに佛法の通塞を道取せんとして、あやまりて佛経は不中用なり、祖師の門下に別伝の宗旨ありといふ。小量の機根なり、佛道の邊際をうかかはさるゆゑなり。佛経もちゐるへからすといはは、祖経あらんとき、もちゐるやもちゐるへからすや。祖道に佛経のことくなる法おほし、用捨いかん。もし佛道のほかに祖道ありといはは、たれか祖道を信せん。祖師の祖師とあることは、佛道を正伝するによりてなり、佛道を正伝せさらん祖師、たれか祖師といはん。初祖を崇敬することは、第二十八祖なるゆゑなり。佛道のほかに祖道をいはは、十祖二十祖たてかたからん。嫡嫡相承するによりて、祖師を恭敬するゆゑは佛道のおもきによりてなり。佛道を正伝せさらん祖師は、なんの面目ありてか人天と相見せん。いはんやほとけをしたふ、ふかきこころさしをひるかへして、あらたに佛道にあらさらん祖師にしたかひかたきなり。
いま杜撰の狂者いたつらに佛道を軽忽するは、佛道所有の法を決択することあたはさるによりてなり。しはらくかの道教儒教をもて佛教に比する愚癡のかなしむへきのみにあらす、罪業の因縁なり、国土の衰弊なり、三寶の陵夷なるかゆゑに、孔老の道いまた阿羅漢に同すへからす、いはんや等覺妙覺におよはんや。


今月の所感

img_1544.jpg-1.jpg今月の「佛經」の巻では、まず最初に雪峰や雲門についての強烈な批判が展開されています。「かるかゆゑにしるへし、かれらか屋裏に、佛家の道業つたはれさるなり」とあり、雪峯や雲門の指導では、正しい仏道修行は伝わらないと、道元禅師は断言されています。その上、彼らには確固たるよりどころを持っておらず、しかもでたらめなことを説き、仏経を蔑んでいるので、彼らに随ってはいけないと警告しています。
道元禅師はさらに返す刀で、「また杜撰のともからいはく、道教儒教釋教ともにその極致は一揆なるへし、しはらく入門の別あるのみなり」と、三教一致を説く人たちを舌鋒鋭く批判しています。
道元禅師が三教一致を排しているのは「四禅比丘」の巻にも見られます。「四禅比丘」の最後に「いま澆運の衆生、宋朝の愚暗のともがらの三教一致の狂言もちゐるべからず。不学のいたりなり」とあり、三教一致は道元禅師とって、許すべからずの思想だったのです。
三教一致とは佛經・儒教・道教がその根本においては一致していると見なす説です。唐代において既に見受けられますが、宋代になると禅僧の中でひろく説かれるようになりました。例えば大慧宗杲の『大慧普覚禅師法語』巻二二の「示張太尉」には、「三教聖人立教雖異、而其道同歸一致、此萬古不易之義。然雖如是、無智人前莫說、打爾頭破額裂。」(大正蔵四七、九〇六b)とあります。
さらに日本に帰化した蘭溪道隆や入宋僧の東福円爾なども三教一致を説いています。金沢文庫所蔵の『蘭渓坐禅儀』の中には、「三教聖人、釈氏治心、老聃養性、孔丘修身。汝能治心、便能養性。既能養性、何患身之不修」と説かれています。
img_1541.jpg-1.jpgこのように三教一致説は中国でも日本でも広まっていましたが、道元禅師が三教一致説を説く人たちを杜撰な輩と批判しているのは、単に看話禅を標榜する臨済系の中に、三教一致説を説く人が多かったからだけではないようです。
道元禅師が指摘するのは、三教一致を説く人たちは、「みたりに佛法の通塞を道取せんとして、あやまりて佛経は不中用なり、祖師の門下に別伝の宗旨ありといふ」と言っているからなのです。即ち、彼らは仏道を説く時に、達磨の門下である禅宗では、別に伝わる教えがあるので、仏経は役に立たないものになっていると言っているからなのです。
さらに、「祖師の祖師とあることは、佛道を正伝するによりてなり、佛道を正伝せさらん祖師、たれか祖師といはん」とあり、仏道を正しく伝えられてきた人こそ祖師と言われるので、仏経を無視し、三教一致などもともと仏道にはない教えを伝える人は、祖師とは言えないと道元禅師は断言されています。従って、「佛道を正伝せさらん祖師は、なんの面目ありてか人天と相見せん」と、道元禅師はぴしゃりと釘をさされておられます。


河本坐禅普及委員からのお知らせ

・今日は新しい方が4名参加されました。参加者からは貴重な体験ができ有難かったですとのお言葉をいただきました。

 

岡本『明珠』編集委員長からのお知らせ

・『明珠』編集委員会を12月2日に行います。新しい方からの原稿をお待ちしています。

 

刑部坐禅普及委員からのお知らせ

・11月29日(木)に大悲殿に新しく机18脚と椅子60(内予備10)個が設置されることになりました。当日午前10時より搬入を始めますので、都合のよい方はお手伝いをお願い致します。

小畑代表からのお知らせ

img_1557.jpg-1.jpg・三仏忌の一つである成道会が12月2日(日)に行われます。今年で36回目となります。今のところ参加申込は21名です。
・本日の坐禅普及委員会で大悲殿の机と椅子の配置を検討します。
・歳末助け合いの托鉢を12月16日午後1時から柏駅東口で行います。参加される方は12時半までに長全寺に集合して下さい。現在参加申込者は10名です。

ご老師からのお知らせ

・歳末助け合い托鉢は絶好の修行の場です。是非多くの方が参加されることを希望します。
・坐蒲の購入を希望される方はお知らせください。
・境内にあるお稲荷さんには忘れ物を見つけてくれるご利益があります。忘れ物をした人はお参りしてみてください、きっと見つかります。

今月の司会者 杉浦上太郎
今月の参加者 37名(内4名が新人)
来月の司会者 添田 昌弘




最終更新日 ( 2018/12/01 土曜日 17:53:39 JST )
 
次へ >
Copyright (C) 2008 ryusenin.org All Rights Reserved.