平成三〇年一〇月定例参禅会報告 プリント

今月の提唱

『正法眼蔵』「佛經」の巻(6)

img_1521.jpg-1.jpg先師天童和尚、よのつねにこれをわらふていはく、學佛あにかくのことくならんや。佛祖正伝する大道、おほく心にかうふらしめ身にかうふらしむ。これを参學するに、参究せんと擬するにいとまあらす。なんの間暇ありてか、晩進の言句をいれん。まことにしるへし諸方長老無道心にして、佛法の身心を参學せさることあきらけし。
先師の示衆かくのことし、まことに臨済は黄檗の會下に後生なり。六十拄杖をかうふりて、つひに大愚に参す。老婆心話のしたに從来の行履を照願して、さらに黄檗にかへる。このこと雷聞せるゆゑに、黄檗の佛法は臨済ひとり相伝せりとおもへり。あまりさへ黄檗にもすくれたりとおもへり。またくしかにはあらさるなり。臨済はわつかに黄檗の會にありて、隨衆すといへとも、陳尊宿すすむるとき、なにことをとふへしとしらすといふ。大事未明のとき、参學の玄侶として、立地聴法せんに、あにしかのことく茫然とあらんや。しるへし上上の機にあらさることを。また臨済かつて勝師の志気あらす、過師の言句きこえす。黄檗は勝師の道取あり、過師の大智あり。佛未道の道を道得せり、祖未會の法を會得せり。黄檗は超越古今の古佛なり。百丈よりも尊長なり、馬祖よりも英俊なり。臨済にかくのことくの秀気あらさるなり。ゆゑはいかん。古来未道の句ゆめにもいまたいはす。たた多を會して一をわすれ、一を達して多にわつらふかことし。あに四料簡等に、道味ありとして學法の指南とせんや。


今月の所感

img_1535.jpg-1.jpg先月は『やさしく読む参同契・宝鏡三昧』の上梓法要のため、「佛經」の巻のご提唱はお休みとなりました。
今月のご提唱の最初に、修行僧を指導する際、臨済の四料簡や四照用、雲門の三句、洞山の三路や五位等などの機関を標準としていることに対して、天童如淨禅師は、このような機関を通じて修行僧を指導することでよいのであろうかと、否定的な見解を示しています。
佛祖の大道は自己の心と身を以て行ずるところにある。この自己の身心を参学し、仏道を極めて行こうとすれば、機関などに拘わっているヒマはないと、如淨禅師は笑って言われているのです。道元禅師も機関については否定的で、機関を参究することは止めてほしいと、「仏道」の巻で述べられています。
次に道元禅師は臨済禅師についての批判を展開されています。臨済禅師は黄檗希運の法を嗣いだが、師のレベルを超えることはなかった批評されています。
『伝心法要』を運述した黄檗禅師は馬祖や百丈よりも優れており、超越古今の古仏であると道元禅師は絶賛されているのですが、臨済禅師については、「臨済にかくのことくの秀気あらさるなり。ゆゑはいかん。古来未道の句ゆめにもいまたいはす。たた多を會して一をわすれ、一を達して多にわつらふかことし。」とあり、臨済はたくさんのものを理解していても、肝心なことを忘れていると、手厳しく批判されているのです。
img_1529.jpg-1.jpg臨済宗の人が、この道元禅師の臨済批判を聞いたならば、どのように思うでしょうか。穏やかな気持ちであるはずがありません。でも道元禅師は臨済禅師を褒めたたえているところもあるのです。例えば「行持」の巻では、臨済禅師が黄檗禅師と共に杉松を栽るという行持を通して、「まことに臨済のごときは、群に群せざるなり。そのときの群は、近代の抜群よりも抜群なり」と臨済を讃歎しているのです。
このように道元禅師の臨済観には一見矛盾しているように見受けられます。即ち臨済の実践面については褒めたたえているのですが、仏法の思想面では黄檗には及ばないと見なしているのです。
これは宋代に臨済宗の大慧宗杲が、公案をもとに悟ることを目的とした看話禅を打ち立て、曹洞宗を默照邪禅をと批判したのに対して、道元禅師は悟りを目的とする看話禅を否定していることから、臨済宗の派祖となる臨済禅師の思想面についても否定的になったのではないかと、椎名老師は仰っていました。詳しくは伊藤秀憲先生の『道元禅研究』を参照するようにとのお示しがありました。


清水さんからのお知らせ

・仏教関連の展覧会が各地で行われています。
サントリー美術館…京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-(2018年9月19日(水)~11月11日(日))
三井記念館…「仏像の姿(かたち)」 ~微笑(ほほえ)む・飾る・踊る~(2018年9月15日(土)~11月25日(日))
国立博物館…特別展「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」(2018年10月2日(火) ~ 2018年12月9日(日))
松戸市立博物館…特別展「ガンダーラ ―仏教文化の姿と形―」(2018年9月22日(土) ~11月25日(日))

河本さんよりのお知らせ

・作務を第1・3金曜日と第2土曜日の午前9時から午前12時まで行っています。多くの方のご参加をお持ちしています。

刑部坐禅普及委員からのお知らせ

img_1531.jpg-1.jpg・10月21日(日)午後0時45分から在日外国人に対する坐禅体験会を行い、外国人6名と日本語教師10名が参加。坐禅指導係が外国人の横に坐り、懇切丁寧に指導したので、大変和気あいあいの坐禅体験会となった。外国人から「坐禅堂ではなぜ靴下を脱がなければならないのか」との質問が出たが、普段当たり前と思っていること質問され当惑した。
・10月27日午前10時から開智国際大学学園祭で坐禅体験会を開催、22名の方が参加された。和室での坐禅体験会だったので、昨年よりも落着いて坐る方が多かった。昨年参加された方も何人か坐られた。なお、11月29日に開智国際大学古賀ゼミが龍泉院で坐禅体験会を行うことになった。


小畑代表からのお知らせ

・三仏忌の一つである成道会が12月2日(日)に行われます。今年で36回目となります。
・『明珠』70号が大悲殿の玄関に置いてあります。まだお読みでない方はご持参ください。
・10月21日と27日の坐禅体験会のお世話下さった方は大変ご苦労様でした。感謝申し上げます。

ご老師よりのお知らせ

・外国人から坐禅堂でなぜ靴下を脱ぐのかとの質問には、「靴下を履いて坐ってみてください」と答えます。靴下を履いて坐ると、如何に不快な思いをするかがわかります。冷煖自知です。
・坐禅体験会にも皆さん参加してみてください。どのように指導をしているかを見ると参考になります。

今月の司会者 清水 秀男
今月の参加者 33名
来月の司会者 杉浦上太郎




最終更新日 ( 2018/11/01 木曜日 12:44:25 JST )
 
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