平成三〇年六月一夜接心報告 プリント

img_0749.jpg-1.jpg第21回一夜接心が平成30年6月2日(土)、3日(日)の両日にわたって行われました。2日間とも梅雨入り前の快晴に恵まれ、爽やかな風やウグイスとホトトギスの鳴き声に包まれた一夜接心でした。これほど気持ちのよい一夜接心は稀なことだと思います。
初日の午後2時には参加者全員集合し、小畑代表のオリエンテーションを受けた後、午後2時50分にご老師の「これより一夜接心開始」の号令と止静鐘が打ち鳴らされ、第1炷目の坐禅が開始されました。
40分の坐禅の後、大悲殿に移り禅講となりました。今年は道元禅師の直弟子の詮慧と孫弟子經豪により撰述された『正法眼蔵抄』のうち、「碓米事」と「法語 開山御詞」がテキストとして取り上げられました。
『正法眼蔵抄』は道元禅師が撰述された難解な『正法眼蔵』に対する初めての注釈書で、作成されたのは1303年から1308年の間といわれています。今回の『正法眼蔵抄』は大分県泉福寺に保管されていた泉福寺本といわれるものです。泉福寺にはこの他に重文の『宋版宏智禪師語録』が保管されていますが、重文指定にあたっては、ご老師が文化庁から審査委員に任命され、審査にあたられてそうです。
初日の禅講では「碓米事」のご提唱がありました。本編は曹谿慧能(638~713)が六祖の位を嗣ぐに至った事歴を平易な和文で示されたものです。
img_0760.jpg-1.jpg薪を売ることを生業としていた慧能が、街角で旅人が『金剛経』を諷誦しているのを聞いて激発され、貧しい母を一人故郷に残して黄梅山の五祖弘忍(601~674)もとに参じました。弘忍からは「嶺南の人には佛性がない」と言われたことに対して、慧能は「人間には南北があるが、佛性には南北がない」と答え、弘忍をたじろがせ、これはただものではないと感服させたのです。
行堂で8ヶ月米を碓いていましたが、弘忍の傳法の人を求めるのに応じて第一上座神秀が壁に書いた偈に対して、慧能はこの頌はまだ悟っていないとして、自分の悟道偈を官人の手を借りて書きました。
この偈を読んだ弘忍は、夜中密かに慧能を呼び出し、釋迦如來のお袈裟と鉢などを伝えて、第6代の祖師を嗣がせることになったことが述べられています。
なお、本編にある銀子四十兩を得て母の介護費用にあてて出家した箇所は、『正法眼蔵髄聞記』(四)にも述べられています(但し『正法眼蔵髄聞記』では銀子三十兩となっています)。

img_0775.jpg-1.jpg翌日の禅講では「法語 開山御詞」のご提唱をいただきました。「法語」はかなり文字の欠けた箇所が多く、読みずらいところもあります。「法語」の冒頭で、まず人として最も幸運なことは佛法に遇うことである。佛法に遇うには修行することが切に望まれる。その佛道修行は参禅學道することによって成熟するものであると説かれています。
その参禅學道の第一の用心は、もず吾我を捨てることであると力説されています。「法語」の巻の最後には、吾我のために参禅學道するのではなく、「佛法のために修するとおこなひゆく」と示されていますが、これは『正法眼蔵髄聞記』や『學道用心集』などに相通ずるものであります。
「法語」の巻は嘉禎戊戌の冬の初めに書くと奥書に示されています。これは嘉禎四年(1238)は道元禅師39歳の時の撰述となります。平易な假名書きで、在家の人に書き与えられたものかと思いますが、假名法語として注目すべきものだと思います。

      「碓米事」と「法語」の巻はこちらから>>

img_0773.jpg-1.jpg今年も典座さんの師子奮闘の働きにより、初日の彩り豊かな藥石、翌日の小食のお粥、中食では豪華な精進料理を頂くことができました。特に中食では汁物として「おろしうどん」がでました。お椀の中にたっぷりと大根おろしが入っており、大変おいしいうどん汁でした。小山典座が額に汗して大皿に山盛り大根おろしをすっておられましたが、小山典座から「おろし金に同じ方向ですっていると、おろし金と大根との間に溝ができ、そのうちにおろせなくなるから、常に大根を回しながらすらなければならない」と、典座の智慧の一端をご披露して下さいました。典座さんのご尽力には、只々頭が下がるばかりです。

ブレイク
img_0767.jpg-1.jpg接心の合間には少し休憩タイムがあったりするので、その間は境内を散歩などしました。お天気が良くすがすがしい気分で歩いていると、本堂の前でよい香りが上の方から漂ってきました。見上げると菩提樹に花が咲き、そこから香って来ていたのです。大黒様は菩提樹の花を花瓶に生けられ、大悲殿の香台の下に置かれました。小生は菩提樹の花を見るのは今回が初めてでした。

閑話休題。今年の一夜接心の参加者は延べ21名で、この内一泊して2日間通して参加されたのは9名でした。最近参禅会の行事への参加者が少なくなっています。ご老師からは参加者減少の原因究明と今後の対策を考えるようにご指示がありました。参禅会普及委員会で今後検討することにしたいと思います。 


最終更新日 ( 2018/06/08 金曜日 10:31:09 JST )
 
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