平成三〇年五月定例参禅会報告 プリント

今月の提唱

『正法眼蔵』「佛經」の巻(2)

img_0736.jpg-1.jpgこの経卷、よく蓋時に流布し、蓋国に流通す。教人の門をひらきて、盡地の人家をすてす、教物の門をひらきて、盡地の物類をすくふ。教諸佛し教菩薩するに、盡地盡界なるなり。開方便門し、開住位門して、一箇半箇をすてす、示眞實相するなり。この正恁麼時、あるひは諸佛、あるひは菩薩の慮知念覺と、無慮知念覺と、みつからおのおの強為にあらされとも、この経卷をうるを、各面の大期とせり。
必得是経のときは、古今にあらす、古今は得経の時節なるかゆゑに。盡十方界の目前に現前せるは、これ得是経なり。この経を読誦通利するに、佛智、自然智、無師智、こころよりさきに現成し、身よりさきに現成す。このとき新條の特地とあやしむことなし。この経のわれらに受持讀誦せらるるは、経のわれらを摂取するなり。文先句外、向下節上の消息、
すみやかに散華貫華なり。
この経をすなはち法となつく、これに八萬四千の説法蘊あり、この経のなかに成等正覺の諸佛なる文字あり、現住世間の諸佛なる文字あり、入般涅槃の諸佛なる文字あり。如来如去、ともに経中の文字なり、法上の法文なり。拈華瞬目、微笑破顔、すなはち七佛正伝の古経なり。腰雪斷臂、禮拝得髄、まさしく師資相承の古経なり。つひにすなはち伝法付衣する、これすなはち廣文全卷を付属せしむる時節至なり。みたひ臼をうち、みたひ箕の米をひる、経の経を出手せしめ、経の経に正嗣するなり。


今月の所感

img_0734.jpg-1.jpg「佛經」の巻の中心テーマは、天地万物が法を説きまくっていることである。そのことを端的にあらわした語句が今回のご提唱の中にある「盡十方界の目前に現前せるは、これ得是経なり」であろう。この意は、目前に現れている全世界そのものが、経典を我物にしていることなのだということです。即ち、大自然の摂理、それが経卷のありさまであるということです。
この事から連想されるのが、「谿声山色」の巻にある蘇東坡の
渓声便ち是れ広長舌、
山色清浄身に非ざること無し。
夜来八万四千偈、
他日如何が人に挙似せん。
であり、「山水経」の巻の冒頭にある「而今の山水は、古仏の道現成なり。ともに法位に住して、究尽の功徳を成ぜり」という言葉です。
「佛經」の巻では「盡十方界の目前に現前せるは、これ得是経なり」に続いて、「この経を読誦通利するに、佛智、自然智、無師智、こころよりさきに現成し、身よりさきに現成す」とあります。天地万物が説きまくっている法の書かれている佛經を読んでいると、佛智や自然智や無師智といった智慧(生きるために必要な命のありさま)が、まっ先に自然とあらわれて来るという有難い教えなのです。
さらに続けて、「この経のわれらに受持讀誦せらるるは、経のわれらを摂取するなり」と示されています。即ち、お経を読むことによって、お経に取り込まれることになるというのです。
お経を読み、どのような事が書かれているのかと究明しようと試みても、なかなか難しい場合が多いものです。でも、お経を素直に無心に読んでゆくことによって、お経の中にとりこまれ、その中にどっぷりと入り込んで、自分自身がお経になってしまえば、難解な語句やこむつかしい理屈を理解しようとしなくても、体得できるのだと道元さんは示されているのかと思います。
今日からは、お経を素直に無心で読誦して行こうと思います。


佐藤年番幹事からのお知らせ

img_0738.jpg-1.jpg・先月の筍堀でお持ち帰りになられた袋はきちんと返却してください。
・一夜接心が6月2日(土)~3日(日)で行われます。現在の参加者は19名です。なお一泊される方は9名です。

     一夜接心ついてはこちら>>

五十嵐からのお知らせ

・「口宣」20号ができました。毎月のご老師の口宣のテープ起こしを登森さんと斉藤さんが担当し、揮毫については牧野さんにお願い致しました。

ご老師からのお知らせ

・「口宣」20号を担当された方々のご努力に感謝いたします。
・一夜接心の参加者が年々減少しているのは寂しい限りです。一夜接心は七炷坐りますので、普段の参禅会の二炷坐禅が楽になります。新しい方はどんどんチャレンジしてください。今年の一夜接心が最後になるかもしれないと、ひしひしと感じるこの頃です。


今月の司会者 冨沢 日出夫
今月の參加者 27名
来月の司会者 吉澤 誠

最終更新日 ( 2018/05/30 水曜日 13:50:58 JST )
 
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