平成三〇年二月定例参禅会報告 プリント

今月の提唱

『正法眼蔵』「(後)心不可得」の巻(7)

img_0552.jpg-1.jpg趙州いはく、國師は三藏の鼻孔上にあるゆゑにみず。この話なにとかいふ。本をあきらめずして末をいふには、かくのごとくのあやまりあり。國師いかにしてか三藏の鼻孔上にあらん、三藏いまだ鼻孔なし。また國師と三藏と、あひみるたよりあるにあひにたれども、
あひちかづくみちなし。明眼はまさに辨肯すべし。
玄沙いはく、只爲太近。まことに太近はさもあらばあれ、あたりにはあたらず。いかなるをか太近といふ、なにをか太近と擧する。玄沙いまだ太近をしらず、太近を參ぜず、
佛法におきては遠之遠矣。
仰山いはく、前両度渉境心、後入自受用三昧、所以不見。これ小釋迦のほまれ西天にたかくひびくといへども、この不是なきにあらず。相見のところはかならず渉境なりといはば、
佛祖相見のところなきがごとし、授記作佛の功徳ならはざるににたり。前両度は實に三藏よく國師の所在をしれりといふ、國師の一毛の功徳をしらずといふべし。
玄沙の徴にいはく、前両度還見麼。この還見麼の一句、いふべきをいふににたりといへども、見如不見といはんとす。ゆゑに是にあらず。
これをききて、雪竇明覺禅師いはく、敗也敗也。これ玄沙の道を道とするとき、しかいふべし。道にあらずとせんとき、しかいふべからず、
海會端いはく、國師若在三藏鼻孔上、有什麼難見、殊不知國師在三藏眼睛裏。これまた第三度を論ずるなり。前両度もみざることを呵すべきを呵せず、いかんが國師の鼻孔上にあり、眼睛裏にありともしらん。
五位尊宿いづれも國師の功徳にくらし、佛法の辨道ちからなきににたり。しるべし國師はすなはち一代の佛なり、佛正法眼藏あきらかに正傳せり。小乗の三藏論師等さらに國師の邊際をしらざる、その證これなり。
他心通といふこと小乗のいふがごときは、他念通といひぬべし。小乗三藏の他心通のちから、國師の一毛端をも半毛端をもしるべしとおもへるはあやまりなり。

今月の所感

img_0559.jpg-1.jpg今月の「後心不可得」の巻のご提唱は、慧忠國師が大耳三藏に対して、「わしは今どこにいるのか」と三度尋ねたところ、大耳三藏は二度まで答えたが、三度目は答えることができなかったことがテーマです。
大耳三藏が何故答えられなかったのか、趙州さん、玄沙さん、仰山さん、雪竇さん、白雲さんがそれぞれ見解を述べられているのですが、道元禅師はこれら五人の尊宿たちの見解はいずれも、「慧忠國師の功徳にくらし、佛法の辨道ちからなきににたり」と、バッサリと切り捨てられているのです。
道元禅師はこれら五人の祖師様方を古仏と尊称され敬われているのですが、古仏といえども、誤った見解には毅然と批判されているのは凄いところです。我々凡人は師匠の見解について、間違っていると思っても、これほど辛辣に批判することはとてもできません。
ところで、椎名老師は慧忠國師の「わしは今どこにいるのか」という問について、次のような解説をされました。
慧忠國師の「わしは今どこにいるのか」という問は、「人間として今ここに存在していることは、物質としての人間があるだけでなく、人間らしい命の働きをしていることなのだ。この命は今どういう働きをしているのか」を問うているのである。即ち、命の働きを刻一刻と重ねているものは何なのか、命を働かせている当体は何なのかを問うているのである。
この命を働かせている当体については、奈良康明先生が龍泉院参禅会25周年記念講演の「私って何でしょう」の中で篤く語られておられました。奈良先生の講演は平易な言葉で話させますのでわかりやすいのですが、話の内容は非常に深いものがありました。
(なお、奈良先生の「私って何でしょう」の講演録は、次回発行される『明珠』69号の付録として配布する予定です)。


小畑代表幹事からのお知らせ

img_0558.jpg-1.jpg・2月11日(日)に「うどん市」で開催された新年会は20名の方が参加されました。
・2月15日(木)に行われた涅槃会は15名の方が参加され、今泉房子さんからの抹茶の貼菜がありました。
・2月の自由参禅では11名の方が参禅されましたが、この内5名は新しく参加された方です。
・45周年行事の一環として出版する『やさしく読む『参同契』『宝鏡三昧』』は、5月ごろ上梓される予定です。
・1月30日(火)におこなわれた奈良康明先生のご喪儀には、ご老師と私と五十嵐さんが参列致しました。

ご老師からのお知らせ

・1月の寒い季節での参禅会でしたが、咳ひとつ聞こえず、実に静かな素晴らしい坐禅でした。
・花粉の飛び交う季節となりました。花粉症の方はお気をつけてください。

今月の司会者 小林 裕次
今月の参加者 36名
来月の司会者 河本 健治

最終更新日 ( 2018/04/30 月曜日 10:10:22 JST )
 
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