平成二九年一二月定例参禅会報告 プリント

今月の提唱

『正法眼蔵』「(後)心不可得」の巻(5)

img_9075.jpg-1.jpgわが大師釋尊の法いまだ二乗外道等の野狐精にはおなじからざるなり。しかあるにこの一段の因縁、ふるくより諸代の尊宿おのおの參究するにその話のこれり。
僧ありて趙州にとふ、三藏なにとしてか第三度に國師の所在をみざる。趙州いはく、國師在三藏鼻孔上、所以不見。また僧ありて玄沙にとふ、既在鼻孔上、為甚不見。玄沙いはく、
只爲太近。海會端いはく、國師若在三藏鼻孔上、有什麼難見、殊不知國師在三藏眼睛裏。また玄沙、三藏を徴していはく、汝道前両度還見麼。雪竇顯いはく、敗也敗也。また僧ありて仰山にとふ、第三度なにとしてか、三藏ややひさしくあれども國師の所在をみざる。仰山いはく、前両度是渉境心、後入自受用三昧、所以不見。
この五位の尊宿、ともに諦當なれども、國師の行履は蹉過せり。いはゆる第三度しらずとのみ論じて、前両度はしれりとゆるすににたり。これすなはち古先の蹉過するところなり、晩進のしるべきところなり。
興聖いま五位の尊宿を疑著すること両般あり。一にはいはく、國師の三藏を試驗する意趣をしらず。二にはいはく、國師の身心をしらず。
しばらく國師の三藏を試驗する意趣をしらずといふは、第一番に國師いはく、汝道老僧即今在什麼處と、いふこころは、三藏もし佛法をしれりや、いまだしらずやと試問するとき、三藏もし佛法をきくことあらば、老僧即今在什麼處ときくことばを、佛法にならふべきなり。佛法にならふといふは、國師の老僧いまいづれのところにかあるといふは、這邊にあるか、那邊にあるか、無上菩提にあるか、般若波羅蜜にあるか、空にかかれるか、地にたてるか、草菴にあるか、寶所にあるかととふなり。三藏このこころをしらず、いたづらに凡夫二乗等の見解をたてまつる。國師かさねてとふ、汝道老僧即今在什麼處、ここに三藏さらにいたづらのことばをたてまつる。國師かさねてとふ、汝道老僧即今在什麼處。ときに三藏ややひさしくあれどもものいはず、ここち茫然なり。


今月の所感

img_9069.jpg-1.jpg先々月の「(後)心不可得」の巻では、大證國師が大耳三藏に「老僧いまいづれのところにかある」と三度尋ね、三度目には大耳三藏が答えに窮してしまったことが述べられていました。この事に関しては色々なお祖師様方が拈提されていますので、今月のご提唱は、その紹介から始まります。
まず趙州さんは、大證國師が大耳三藏の鼻の上にいたので、大耳三藏は見えなかったのだと答えています。
この趙州さんの答えをもとに玄沙さんは、鼻の上は眼にはなはだ近すぎるので見えなかったと答えています。
さらに海会寺の白雲守端さんは、大證國師は大耳三藏の眼の中にいたので見ることができなかったと答えています。
玄沙さんがもう一度、この大耳三蔵に関する説話を引き合いに出して言うには、「さてお前たちに質問するが、前の二度は果たして大耳三蔵は大証国師を見たのかどうか答えてみよ」と。それに対して雪竇さんは「さすがだ、負けた、負けた」と。
仰山さんは、大耳三藏は二度目までは外境に捉われ外境に執着した心であったが、三度目の時は仏法の功徳や利益を自ら受け、その楽しみを味わうさとりの境地に入ったので、見ることができなかったと答えています。
このように五人のお祖師様方の様々な見解について道元禅師は、「國師の行履は蹉過せり」と述べ、大證國師の行為を見誤っていると喝破されているのです。即ちこの五人の見解では、三度目の問いに対して、大證國師がどこにいるのか分からなくなった点だけが問題となり、前の二度の大耳三藏の答えは許されていることになるからです。これでは後進の人たちに大證國師の行履を大いに見誤ることになると、道元禅師は指摘されているのです。
そこで道元禅師は五人の祖師方の見解について、次のような二つの疑問点を投げかけています。
第一の疑問:大證國師の三度の問いは、大耳三藏が本当に仏道を修得しているのかをテストしているのだが、この事を五人の祖師方は知らなかったのではないか。
第二の疑問:五人の祖師方は本当の大證國師を知らなかったのではないか。
第一の疑問については道元禅師は懇切丁寧に解説されていますので、原文をお読みください。第二の疑問については来月のご提唱で示されます。
img_9076.jpg-1.jpgそれにしても道元禅師が、趙州さんや玄沙さんなどのような偉大なお祖師様方をきっぱりと批判されていることには驚かされます。仏道に照らして正しくないと判断されたことについては、偉大なお祖師様方の見解といえども、批判の対象になるのです。このような道元禅師の態度には改めて感服するところです。

茶話会の後、本堂・大悲殿・坐禅堂・境内の四班に分かれて大掃除に取り掛かりました。日頃お世話になっている龍泉院様への何分の一かのお返しとして、約一時間、それぞれの持ち場で掃除作務に従事しました。
大掃除終了後、大悲殿に集合して、大黒様お手製のお雑煮に舌鼓を打ちました。


小畑代表幹事からのお知らせ

・来年の年番幹事は小山さんと佐藤さんにお願いすることになりました。
・来年も自由参禅は小畑代表幹事と鈴木さんと河本さんが担当いたします。
・今日の大掃除の後には大黒様がお雑煮を振る舞ってくださいます。


ご老師からのお知らせ

・今年は知人に物故された方が多い年でした。特に仏教界の至宝であり、参禅会25周年記念でご講演くださった奈良康明先生が12月10日にご遷化されました。本葬は来年1月30日午後2時から、東京都港区西麻布の永平寺別院の長谷寺で行われます。
・坐蒲をご希望の方は年番幹事さんまでお知らせください。まだ1~2個あります。値段は5500円です。
・今年の冬は大変寒さが厳しいです。健康にはご留意され、来年1月の参禅会でお会いできるようにしましょう。私は来年数え年で85歳になります。

今月の司会者 鈴木 民雄
今月の参加者 36名
来月の司会者 相澤 善彦

最終更新日 ( 2018/04/30 月曜日 10:11:38 JST )
 
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