平成二九年八月定例参禅会報告 プリント

今月の提唱

『正法眼蔵』「(後)心不可得」の巻(1)

img_9660.jpg-1.jpg心不可得者、諸佛なり。みずから阿耨多羅三藐三菩提と保任し来れり。
金剛経云、過去心不可得、現在心不可得、未来心不可得。
これすなはち諸佛なる心不可得の保任の現成せるなり、三界心不可得なり諸法心不可得なりと保任し来れるなり。これをあきらむる保任は、諸佛にならはざれば證取せず、諸祖にならはざれば正傳せざるなり。諸佛にならふといふは、丈六身にならひ、一茎草にならふなり。諸祖にならふといふは、皮肉骨髄にならひ、破顔微笑にならふなり。この宗旨は正法眼蔵あきらかに正傳しきたりて、佛佛祖祖の心印、まさに直指なること嫡嫡単傳せるにとぶらひならふに、かならずその骨髄面目つたはれ、身體髪膚うくるなり、佛道をならはず、祖室にいらざらんは、見聞せず会取せず。問取の法におよばず、道取の分夢にもいまだみざるところなり。
徳山のそのかみ不丈夫なりしとき、金剛経に長ぜりき。ときの人これを周金剛王と稱しき。八百餘家のなかに王なり。ことに、青龍の疏をよくせるのみにあらず、さらに十二擔の書籍を釋集せり、齊肩の講者あることなし。ちなみに、南方に無上道の嫡嫡相承せるありと聞て、書をたづさへて山川をわたりゆく。龍潭にいたらんとするみちのひたりに歇息するに、婆子来り逢ふ。徳山とふ、なんぢはこれなにひとぞ。婆子いはくわれはもちひうる老婆なり。徳山いはく、わがためにもちひをうるるべし。婆子いはく、和尚かうてなにかせん。徳山いはく、もちをかふて點心にすべし。婆子いはく、和尚の、そこばくたづさへてあるは、これなにものぞ。徳山いはく、汝きかずやわれこれ周金剛王なり、金剛経に長ぜり、通達せずといふところなし、このたづさへてあるは、金剛経の解釈なり。これをききて、婆子いはく、老婆に一問あり、和尚これをゆるすやいなや。徳山いはく、ゆるす、なんぢがこころにまかせてとふべし。いはく、われかつて金剛経をきくにいはく、過去心不可得、現在心不可得、未来心不可得、いまもちひをしていづれの心をか點ぜんとする。

今月の所感

img_9661.jpg-1.jpg今月から「心不可得」の巻のご提唱が始まりました。受付に「心不可得」のテキストが置かれているのを見て、小畑代表と「以前にも心不可得の巻はありましたよね。またダブって講義されのでしょうか?」と立ち話をしました。
ご提唱が始まりご老師は私たち二人の心を見通していたかのように、「心不可得の巻は昭和63年3月から7月まで5回にわたって行いました。ただ心不可得の巻には二巻あり、今回は後心不可得と呼ばれているもので、前回とは違います。」とズバリ指摘されました。心不可得の巻に前と後があることは初めて知り、勉強不足を痛感しました。
ところで一体心とは何でしょう。心とはまことに捉えがたく、またしょっちゅう変わる、頼りないものです。ですから『金剛経』には、「過去心不可得、現在心不可得、未来心不可得」なる一節がズバリあるのです。
道元禅師は「(後)心不可得」の巻の冒頭において、「心不可得者、諸佛なり。みずから阿耨多羅三藐三菩提と保任し来れり。」とまず述べられ、心不可得なりと心得るのが諸佛であり、諸佛は常にそれを最高の智慧として保持しているだと仰っているのです。心不可得と思い切れば、あれこれと余計なことに悩まなくても済むかもしれませんが・・・・・
道元禅師は更に三界も諸法も心不可得であると述べられ、これらは諸佛を学ぶことによって得られるものであり、諸祖に学ぶことによって伝えられてきたのだと、指摘されています。
この後、「(前)心不可得」の巻にもありましたが、徳山宣鑑と餅売りの婆さんとの問答が紹介されています。禅で婆さんが登場すると、それはただの老婆ではなく、生半可な悟りに安住している僧や、学問の知識をひけらかす高僧をやっつける役を演ずる場合が多いのです(例外もありますが)。
この巻でも『金剛経』に関しては当代随一の研究家と自負していたし、世間からも周金剛王と称されていた德山に対して、餅売りの婆さんが、「金剛経を聞くと、過去心不可得、現在心不可得、未来心不可得という句がありますが、いま和尚さんは餅を買って、いったい、いずれの心を点じようとなされるのかお答えください。」と質問しました。
さて徳山の答えはどうだったのでしょうか、これは来月のお楽しみとしましょう。


刑部坐禅普及委員からのお知らせ

img_9663.jpg-1.jpg・曹洞宗宗務庁が発行した藤田一照の『坐禅読本』を読んで、大いに自分の坐禅を見直すことができた。『坐禅読本』には坐禅の目的をわかりやすく書かれているので、これを参考に坐禅体験会で話すと、もっと参禅会に入る人が多くなるのではないかと思った。

河本坐禅普及委員からのお知らせ

・最近は自由坐禅に参加する人が多くなってきた。新しい方は自由参禅を活用して坐禅に親しむようにしてほしい。

小畑代表幹事からのお知らせ

・8月16日(水)に行われた龍泉院の施食会には、雨の中で駐車場の整理に当たるなど、20名の方がお手伝いくださいました。有難うございます。

松井年番幹事からのお知らせ

・『龍泉院だより』67号に参禅会員による境内の掃除作務が紹介されています。当初はお寺をきれいにしたいという願いから始めましたが、龍泉院の管理運営上お役に立っているようなので、大変うれしいことです。

ご老師からのお知らせ

・施食会は180名の方が参加する当山の一大イベントです。参禅会の方々のご協力により無事円成することができたことに感謝申し上げます。
・8月末に4日間、柏倫理法人会の早朝坐禅会が行われ参加者は延べ50名でした。この会はもう40年間続いています。


今月の司会者 五十嵐嗣郎
今月の参加者 28名(新人1名)
来月の司会者 河本 健治

最終更新日 ( 2018/04/30 月曜日 10:14:00 JST )
 
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