平成二九年六月一夜接心報告 プリント
img_9352.jpg-1.jpg今年の一夜接心は6月3日(土)・4日(日)にわたって行われましたが、龍泉院で一夜接心が行われるようになって今年で20回目になるそうです。3日の午後2時20分からオリエンテーションが行われ、小畑代表幹事さんから差定に基づいての説明がありました。差定の中で二日目の搭袈裟の偈を行う時間が間違っているとの指摘が、昨年の年番幹事の刑部さんからあり、二日目の第一炷の最後に行うよう訂正されました。
オリエンテーションが終わり、午後2時50分から第一炷の坐禅が始まりました。ご老師の堂内にとどろきわたる声で「これより今年度一夜接心の開始」と告げられると、堂内にはピシッとした空気が張りつめました。
一夜接心の口宣は『正法髄聞記』から「佛祖の道は、只、坐禪なり。他事に順ずべからず」の一句でした。口宣の後、黙々と坐ること30分して抽解鐘が鳴り第一炷目の坐禅が終わり、大悲殿に戻り禅講となりました。
禅講は昨年に引き続き『普勧坐禅儀』についてのご提唱です。禅講の初めにご老師より、永平寺76世秦慧玉禅師が作成された「普勧坐禅儀図表」についてのご説明がありました。この表を見て漢文の『普勧坐禅儀』が四六駢儷体で綴られていることがよくわかりました。四字と六字から成る対句が多用されており、典故のある語句が繁用され、平仄が合わせられています。
『普勧坐禅儀』が四六駢儷体で綴られているからこそ、お唱えすると非常にリズミカルで格調高く聴こえるのです。さらに「普勧坐禅儀図表」によれば、『普勧坐禅儀』の構成が経典の基本通り、序分・正宗文・流通文から成り立っているのです。この図表を作成された秦慧玉禅師の分析力に感心すると共に、道元禅師の文章構成力の巧みさを改めて思い知らされました。
今年の『普勧坐禅儀』のご提唱は「所謂坐禅は習禅には非ず。唯是れ安楽の報法門なり」からです。因みに一夜接心では毎回『普勧坐禅儀』を2回に分けてお唱えしますが、後半はこの箇所からお唱えすることになっています。また5月の定例参禅会の「口宣」でもこの箇所が取り上げられていました。
坐禅は安樂の法門とありますので、坐禅中は楽に坐ることが出来るようにならなければならないと受け取りがちですが、そうではありません。「安」とは体がやすらかな状態になっていることであり、「楽」とは心がやすらかな状態になっていることなのです。
img_9348.jpg-1.jpg体を安らかにするためには、正身端坐して、耳が肩の上にあり、鼻とおへそがまっすぐ一直線上になるような姿勢を保つことです。また心を安らかにするためには、頭に浮かんでくる雑念を追いかけないようにすることです。
この安樂という語句は『法華経』第一四品「安樂行品」によるものであるとご老師は仰られました。因みに「安樂行品」は文殊菩薩が佛に五濁悪世における初心の法華行者が容易に修行しうる道を問うたのに対して、佛が四安樂行品を説いたものです。四安樂行品は一.身安樂行。二.口安樂行、三.意安樂行、四.誓願安樂行とから成り立っています。
ところで今回の『普勧坐禅儀』のご提唱の中で最も力強く思ったところは、「専一に功夫せば、正に是れ辧道なり。修証自ら染汚せず、趣向更に是れ平常なる者なり」の箇所です。即ち、私のような愚鈍な者でも、もっぱら坐禅にまかせていれば、それが立派な修行となり悟りの世界が開けてくるというものです。その修行・悟りの世界は何かを得る為に行うものでもなく、また外からの評価を得る為に行うものでもない。ただ佛道のために仏道を行じるのであり、どっちへころんでも平常常住の道に徹してゆくことなのです。
禅講の後、薬石となり、松井さんと今年から新しく典座役に加わった佐藤さんによる手作り美味しいお料理をいただきました。藥石の後は二炷の坐禅を行い就寝となりました。
img_9365.jpg-1.jpg二日目は4時に起床、第一炷目の最後に搭袈裟の偈をお唱えして袈裟を掛け、その後、行茶となりお茶とお菓子をいただきました。行茶の給仕をされた河本さんと山本さんは、前夜に鈴木さんから行茶給仕作法の特訓を受けられたそうで、そのお陰でスムーズに行茶の行事が進行することができました。
第二炷目の坐禅に引き続き朝課が行われ、『祇園正儀』を全員でお唱えしましたが、普段このお経を読む機会が少ないため、読経の時間が非常に長く感じられた方もいらっしゃいました。朝課の後は作務や小食、二炷の坐禅に『普勧坐禅儀』の禅講がありました。
さて『普勧坐禅儀』の最後は「宝蔵自ら開けて、受用如意ならん」という句で結ばれています。「受用如意ならん」とは本物の坐禅と自然と本物の人格が動き出し、他人様にもその功徳は及ぼすことになるということだとご老師はお示しになられました。坐禅は自分のためだけという小さな了見ではなく、自分が坐禅をすることにより世の中のお役に立つことにもなるという、大きな心で臨まなくてはならないことだと思います。
img_9372.jpg-1.jpg今年の一夜接心も午後2時には無事円成しました。毎年、一夜接心が始まる前は2日間にわたって七炷も坐らなければならないのかと思いますが、終わってみればアッという間です。来年もまた同じことを繰り返すのかと思いますが、近ごろご老師は「今年が最後で、来年の一夜接心はないかもしれません」と口癖のように仰いますので、今年の一夜接心の思いを大切に残しておかなければならないと思います。
一夜接心にあたっては、ご指導してくださったご老師と小畑さん、献身的に尽くしてくださった典座役の松井さんと佐藤さん、細やかなお世話をしてくださった山桐さんと河本さんと山本さんに御礼を申し上げる次第です。













最終更新日 ( 2018/04/30 月曜日 10:23:15 JST )
 
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