平成二九年四月定例参禅会報告 プリント

今月の提唱

『正法眼蔵』「看經」の巻(5)

img_9279.jpg-1.jpg冶父道川禪師云、億千供佛福無邊、争似常将古教看、白紙上邊書墨字、請君開眼目前觀。〈冶父道川禪師云く、億千の供佛、福無邊なり、争か常に古教を将て看するに似ん。白紙上邊に墨字を書す、請らくは、君、眼を開いて目前に觀よ。〉
しるべし、古佛を供ずると古教をみると、福德斉肩なるべし、福德超過なるべし。古教と云ふは、白紙の上に墨字を書せる、たれかこれを古教としらん。当恁麼の道理を參究すべし。
曇居山弘覺大師、因有一僧、在房内念經。大師隔窓問云、闍梨念底、是什麼經。僧對曰、維摩經。師云、不問儞維摩經、念底是什麼經。此僧従此得入。〈曇居山弘覺大師、因みに一僧有り、房内に在って念經す。大師、窓を隔てて問うて云く、闍梨の念底は、是れ什麼の經ぞ。僧、對えて曰く、維摩經。師云く、儞に維摩經を問わず、念底は是れ什麼の經ぞ。此の僧、此れより得入す。〉
大師道の念底是什麼經は、一條の念底、年代深遠なり、不欲擧似於念〈念を擧似することを欲せず〉なり。路にしては死蛇にあふ、このゆえに什麼經の問著現成せり。人にあふては錯擧せず、このゆえに維摩經なり。おほよそ看經は、盡佛祖を把拈しあつめて、眼睛として看經するなり。正当恁麼時、たちまちに佛祖作佛し、説法し、説佛し、佛作するなり。この看經の時節にあらざれば、佛祖の頂●(寧+頁)面目いまだあらざるなり。


今月の所感

img_9308.jpg-1.jpg毎年4月の参禅会では、ご老師から坐禅の基本的動作に関するご指導があります。今年は注意事項として次の5点が挙げられました。
①    スリッパを揃えてかけておくこと。
②    ゆったりと楽に坐るために、左右揺身をできるだけ大きく5~6回行うこと。
③    警策を受ける時は猫背になって頭を左側に少し傾けること。中には全く動かない人や逆に極端に傾く人がいるが、どちらも肩甲骨を痛める恐れがある。
④    経行の時には叉手は手の甲を上向きにする揖手を基本とする。また足の運びは必ず一呼吸に半歩前進する一息半歩にすること。他のやり方もありますが、龍泉院参禅会では澤木興道流の経行を行います。
⑤    経行の後、堂内を一周する時は足取りを早めるように心掛けること。
以上の5点についてご注意があった後、会員から日頃坐禅に関しての不明点についてご老師に質問がなされました。

今月の「看経」の巻については、最初に冶父道川禅師が登場しますが、この方は生没年不詳で宋代に活躍した臨済宗の人です。安徽省の冶父山実際禅院に住持したので冶父道川禅師と呼ばれています。道川は金剛経についての解説を頌で示した『川老金剛經註』を撰述した方として有名です。その『川老金剛經註』の中で、たくさんの佛に供養することから生まれる福德は無限であるが、お釈迦さんの説かれた古経を看ることには及ばない。白い紙に墨で字を書いたものが経典に他ならないが、この経典を読むことがいかに尊いか、諸君とくと見ていただきたいという頌があります。この頌を道元禅師は引かれ拈提されています。
img_9288.jpg-1.jpg次に曇居道膺禅師と僧との問答が取り上げられています。この問答は字ずらだけ読むと何のことかよくわからない禅問答となっています。そこで自分なりの解釈を交えて次のように訳してみました。
曇居禅師は弟子の僧が経典を読んでいるところを見て、窓越しに「声を出さずに読んでいる経典は何の経典だ」と質問した。問われた僧は「維摩経です」と答えた。すると曇居禅師は「お前に経典の名前が維摩経だということを聞いたのではない。声を出さずに読んでいるものは、(言葉では言い表すことのできない)何かを教えている経典だ」と言った。この言葉を聞いた僧はそこで経を読むことの本当の意味を悟ったのである。
ところで以前、薬山唯儼禅師のところでは、経典を読むことは常日頃はやらなくてもいい事であって、自分の目が冴え過ぎていたり、あるいは自分の頭が冴え過ぎている時に、それを曇らせるために経典を読むのだと言われました。ところが今回の冶父道川禅師の言葉は薬山禅師の立場と全く逆で、経典を読むことそのものを真正面から最高のものとして肯定しておられるのです。
そこで今回の「看経」の巻のご提唱の最後に、道元禅師は看経に関して次のような見解を述べられています。そこを見てみますと、
img_9292.jpg-1.jpgおほよそ看經は、盡佛祖を把拈しあつめて、眼睛として看經するなり。正当恁麼時、たちまちに佛祖作佛し、説法し、説佛し、佛作するなり。
となっています。即ち、看経とはあらゆる佛祖の言われたことを集めて、佛祖たちの言われたエッセンスを見ることである。そのような視点で経を見る時に初めて佛祖が本当の自己となり、説法することができ、語り掛けることができるようになり、佛となるのである。またその時に佛祖の真骨頂が現れ出るのであると、道元禅師はお示しになられています。要は経典の事細かなことに捉われず、大事なエッセンスを的確にとらまえることが大切な事なのです。

今月は筍堀があるのでご老師のご提唱の時間は少し短く、茶話会の後、筍堀が行われました。筍堀については別途「行時報告」に掲載します。

松井年番幹事からのお知らせ

・定例参禪会の後に筍堀があります。筍を掘った穴は埋め戻して下さい。筍以外の植物は採らないでください。

小畑代表からのお知らせ

・一夜接心が6月3日(土)・4日(日)に行われます。
・4月11日にポーランド人への坐禅体験会を行いました。小山さんが坐禅を指導し、小畑二郎さんが通訳をやりました。


五十嵐からのお知らせ

img_9287.jpg-1.jpg・5月14日(日)に「柏市民活動フェスタ2017」に参加して、パレット柏で東葛坐禅クラブ坐禅体験会を行います。前日と当日でお手伝いできる方はお知らせ下さい。

ご老師からのお知らせ

・盛りだくさんの行事が予定されています。奮ってご参加ください。

今月の司会者 河本 健治
今月の参加者 31名(新人2名)
来月の司会者 冨沢 日出夫


最終更新日 ( 2018/04/30 月曜日 10:17:03 JST )
 
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