平成二八年一二月定例参禅会報告 プリント

今月の提唱

『正法眼蔵』「看經」の巻(2)

img_9064.jpg-1.jpg薬山曩祖弘道大師、久不陞堂。院主白云、大衆久思和尚慈誨、山云、打鐘著。院主打鐘。大衆才集、山陞堂、良久便下座帰方丈。院主随後白云、和尚適来聴許為衆説法、如何不垂一言。山云、経有経師、論有論師、争怪得老僧。
〈薬山曩祖弘道大師、久しく陞堂せず。院主白して云く、大衆久しく和尚の慈誨を思う。山云く、打鐘著。院主、打鐘す。大衆才に集まる、山、陞堂し、良久して便ち下座して方丈に帰る。院主、後に随って白して云く、和尚適来、衆の為に説法せんことを聴許す、如何が一言を垂れざる。山云く、経に経師有り、論に論師有り、争か老僧を怪み得てん。〉
曩祖の慈誨するところは、拳頭有拳頭師、眼睛有眼睛師なり。しかあれども、しばらく曩祖に拝問すべし、争怪得和尚〈争か和尚を怪み得てん〉はなきにあらず、いぶかし、和尚是什麼師〈和尚は是れ什麼の師ぞ〉。
韶州曹渓山大鑑高祖会下、誦法華経僧法達来参。高祖為法達説偈云、心迷法華転、心悟転法華、誦久不明己、与義作讐家、無念念即正、有念念成邪、有無倶不計、長御白牛車。
〈韶州曹渓山、大鑑高祖の会下に、法華経を誦する僧法達、来参す。法達が為に偈を説いて云く、心迷えば法華に転ぜられ、心悟れば法華を転ず。誦すること久しきも己れを明らめざれば、義と讐家と作る。無念の念は即ち正にして、有念の念は邪と成る。有無倶に計せざれば、長えに白牛車に御せん。〉
しかあれば、心迷は法華に転ぜられ、心悟は法華を転ず。さらに迷悟を跳出する時は、法華の法華を転ずるなり。法達まさに偈をききて、踊躍歓喜、以偈賛曰、経誦三千部、曹渓一句亡、未明出世旨、寧歇累生狂、羊鹿牛権設、初中後善揚、誰知火宅内、元是法中王
〈踊躍歓喜し、偈を以て賛して曰く、経を誦すること三千部、曹渓の一句に亡ず、未だ出世の旨を明らめずんば、寧んぞ累生の狂を歇めん、羊・鹿・牛の権設、初中後善揚す、誰か知らん火宅の内、元と是れ法中の王なることを〉。
そのとき、高祖曰、汝今後方可名為念経僧也〈高祖曰く、汝、今より後方に名づけて念経僧と為すべし〉。
しるべし、仏道に念経僧ある事を。

今月の所感

img_9069.jpg-1.jpg今月の定例参禅会で今年も最後の参禅会となりました。月日の経つのは速いもので、そのスピードが年々速く感ずるのは歳のせいでしょうか。子供のころは一年がものすごく長く感じたものです。もっとも子供のころのような時間感覚を持ち続けていたら、終日のたりのたりかなの暇な老人は、退屈な時間の経つのが遅く感じて、とても90歳や100歳までは生きて行けないのではないでしょうか。
ところで今月のご提唱では薬山惟儼禅師と六祖慧能禅師が登場します。薬山は湖南省の北部の津市市にあり、芍薬が多く咲くところから芍薬山とも称し、山中に薬山寺があります。
薬山寺を開いた薬山惟儼には4,50人の雲水が参集しており、法嗣には洞山良价禅師の師匠の雲巖曇晟禅師がいます。
薬山が院主から雲水の為に説法するように頼まれ陞座しましたが、一言も発しないで下座したので、何故説法しないのかと院主に責められました。すると薬山はどこがおかしいのだと答えたのです。この話は『從容録』第七則「薬山陞座」に詳しく見える公案です。
この公案の眼目は「良久」にあります。良久とは上堂説法で暫く沈黙することです。薬山が良久したことに全身で説法していることが現れているのです。経師が経を説き、論師が論を説くのは、ただ真意の一部分しか説いているに過ぎません。薬山は全身で全体の真意を挙揚していたのです。
韶州曹渓山は広東省の北部の韶関市にある六祖慧能ゆかりの所です。曹渓山南華寺に住持していた六祖の所に法達が参じた時の話です。この話は『景徳伝灯録』巻五の「法達」の章をもとに、『正法眼蔵』の「法華転法華」の巻に詳しく述べられています。
img_9075.jpg-1.jpg『法華経』を三千回も唱えながらその宗趣を会得できなかった法達が六祖に拝謁すると、案の定、六祖から「『法華経』の宗趣如何」と質問されました。宗趣を会得していなかった法達は従来文を誦するしかありませんでした。
六祖から「誦久不明己、与義作讐家」と言われた法達は、六祖に『法華経』の宗趣を問いただします。六祖から親切丁寧な『法華経』の宗趣を聞いて会得した法達は、長年の疑問が解け踊躍歓喜するのです。法達はその後六祖に参随し、印可を受け、南華寺で大いに宗旨を挙揚したのです。
六祖の偈に「心迷法華転、心悟転法華」という語句があります。当然凡人は心が迷っているので、法華を転ずることなど滅相もないことで、法華に転ぜられるだけです。しかし我々凡人はそのお陰で色々と変化する世界を垣間見ることができるのです。負け惜しみのようにも聞こえますが、心が迷っているからこそ、色々な世界に出逢い、文学が生まれ、芸術が生まれるのではないでしょうか。心が悟ってしまったならば同じ風景しか見えず、つまらない人生になってしまうのではないかと思います。

小畑代表幹事からのお知らせ

img_9076.jpg-1.jpg・年番幹事の刑部さん、佐藤さん、小林さん、一年間ご苦労様でした。感謝申し上げます。来年の年番幹事は松井さん、山桐さんにお願いすることになりました。よろしくお願い致します。
・今年は龍泉院参禅会45周年にあたり色々な行事がありましたが、お陰様で無事円成することができました。感謝申し上げます。

 

刑部年番幹事からのお知らせ

・12月1日(木)に行われた海上自衛隊下総基地の隊員53名による坐禅体験会の報告書を作成しました。ご覧になりたい方はお知らせください。
・来年1月の予定をお知らせします。
1月1日(日・祝)自由参禅はお休みです。
1月14日(土)自由参禅は行います。また年番幹事の引継ぎを行います。
2月12日(日)新年会を行います。
・今日の大掃除は坐禅堂清掃・境内清掃・大悲殿片付けの3グループで行います。
・45周年行事の資料を纏めるファイルを用意しましたので、各グループごとに資料の整理をお願いします。

ご老師からのお知らせ

・AEDの講習を受講された方には受講カードが来ていますので取りに来てください。
・来年の曹洞宗のカレンダーができましたのでお持ち帰りください。
・今年も45周年行事に転ぜられて元気に過ごすことができました。

今月の司会者 相澤 善彦
今月の参加者 32名
来月の司会者 鈴木 民雄

最終更新日 ( 2016/12/27 火曜日 10:10:35 JST )
 
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