平成二七年九月定例参禅会報告 プリント

今月の提唱

『正法眼蔵』「法性」の巻(1)

img_7745-1.jpgあるいは經卷にしたがひ、あるいは知識にしたがひて、參學するに、無師獨悟するなり。無師獨悟は、法性の施爲なり。たとひ生知なりとも、かならず尋師訪道すべし。たとひ無生知なりとも、かならず功夫辨道すべし。いづれの箇箇か生知にあらざらん。佛果菩提にいたるまでも、經卷知識にしたがふなり。
しるべし經卷知識にあうて法性三昧をうるを、法性三昧にあうて法性三昧をうる生知といふ。これ宿住智をうるなり、三明をうるなり。これ阿耨菩提を證するなり。生知にあうて生知を習學するなり。無師智自然智にあうて無師智自然智を正傳するなり。もし生知にあらざれば、經卷知識にあふといへども、法性をきくことをえず、法性を證することをえざるなり。大道は、如人飮水冷暖自知の道理にはあらざるなり。一切諸佛および一切菩薩、一切衆生は、みな生知のちからにて、一切法性の大道をあきらむるなり。經卷知識にしたがひて、法性の大道をあきらむるを、みづから法性をあきらむるとす。經卷これ法性なり、自己なり。知識これ法性なり、自己なり。法性これ知識なり、法性これ自己なり。法性自己なるがゆゑに、外道魔儻の邪計せる自己にはあらざるなり。


今月の所感

img_7742-1.jpg『正法眼蔵』「梅華」の巻のご提唱が先月で終わり、今月から「法性」の巻が始まりました。「法性」の巻は寛元元年(1243)十月に吉峰寺で示衆されたものです。
「法性」と似通った言葉として「仏性」がありますが、『禅学大辞典』(大修館書店)によれば、「法性」とは梵語でdharmatãといい、諸法の真実如常なる本性、諸法本然の実性で、佛の正覚の内容をなすもの、と記せられています。ご老師は「法性」とは真実、悟り、真理、大自然の命を指すと示されました。
一方「仏性」とは『禅学大辞典』によれば、梵語でbuddhatãと言い、如来性・覚性とも。佛陀の本性の意。如来蔵と同視される、とあります。
ご老師によれば、今回の「仏性」の巻は比較的短く、しかも内容的にはわかりやすい巻であるそうです。これまでご老師による『正法眼蔵』のご提唱は50巻以上にわたりますが、主要な巻のご提唱は済みましたので、今後は「法性」の巻のように短いものを優先的に取り上げて行かれるそうです。
今月の「法性」の巻でも素晴らしい語句が見受けられました。例えば「たとひ生知なりとも、かならず尋師訪道すべし」や「いづれの箇箇か生知にあらざらん」などがあげられます。
生知とは生まれながらにして物事を知っている人、あるいは生まれながらに利根の人、気根のすぐれた人のことです。即ち生まれながらに優れた人であっても師について道を尋ねる姿勢でなければならない。また、どのような人ひとりたりとも利根でない人がいるだろうか、否どのような人でも何か優れたものをもっているものである、と述べられているのです。
img_7754-1.jpgこの点に関してご老師は常日頃、現在の教育は学力テストばかりを重視しているため、落ちこぼれや引きこもりが生じている。どのような子供でも素晴らしいものをもっているのだから、その能力を見つけて引き出すことが教育の果たす務めであると、仰られています。
また、世の中の人に自分の生き方に自信があるかと質問すると、半数以上の人が自信がないと答えます。これは他人と比較して自分は劣っていると思うからです。
ご老師は「人間の不幸は比較することから始まる」とも言われました。人は自分に満足できず、常に他人と比較しなければ自分の状態が分らない。人間は欲深いので、他人と比較すると劣っている所ばかりが目につく。従って不幸は比較することから始まるのです。我々には「唯吾足るを知る」ことが必要なようです。
今月の「法性」の巻のご提唱の最後に、「經卷これ法性なり、自己なり。知識これ法性なり、自己なり。法性これ知識なり、法性これ自己なり」とあります。これは佛の教えが示されている経卷は仏性であり、先輩のお祖師様方が示された教えが佛性である。法性とは諸法の本体であり、しかも自己も法性であるから、自己は諸法の本体そのものであると示されているのです。
「現成公案」の巻には「佛道をならふといふは、自己をならふ也。自己をならふといふは、自己をわするるなり。自己をわするるといふは、萬法に證せらるるなり。萬法に證せらるるといふは、自己の身心および他己の身心をして脱落せしむるなり」と言う有名な句がありますが、この句とも符合するものと思われます。
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ご提唱の後の茶話会では、小山さんから「振り込み詐欺」の電話を受けたお話がありました。これを受けてその後次々と「振り込み詐欺」に関するお話しで盛り上がりました。人間は欲深いから何か得する話には弱いもので、自分は振り込み詐欺の話には乗らないと思っていても、いざ電話を受けるとつい信じてしまうことがあるそうです。ご注意!ご注意!


鈴木年番幹事からのお知らせ

・9月6日(日)の自由参禅には10名の方が來山されました。また12日(土)の自由参禅には6名の方が來山されました。中に4名初心の方がいましたが、定例参禅会では敷居が高いので自由参禅に来られたとの事でした。

小畑代表幹事からのお知らせ

・『明珠』64号発行にあたり編集に携わった方のご苦労に感謝申し上げます。
・来年の龍泉院参禅会45周年を迎えるにあたって実行委員会を立ち上げることになりました。つきましては実行委員を募集いたしますので、奮ってのご参加をお待ちしています。なお、委員の希望者が少ない場合は、こちらから指名させて頂きますのでよろしくお願い致します。


ご老師からのお知らせ

・坐禅普及のために『明珠』を参禅会員だけでなく広く配布したいと思いますので、検討をお願いします。
・9月23日に3名の方が坐禅堂の周りの草むしりをなさってくださいました。お蔭できれいになりました。
・8月16日の施食会で禁煙のご法話をいただいた来馬老師に、小畑代表とお礼を申し上げに参ります。
・45周年実行委員会には新しい方も奮ってご参加いただき、何か一つでもお手伝いするようにお願い致します。


今月の司会者 山本 總
来月の司会者 冨沢日出夫
今月の参加者 30名

最終更新日 ( 2015/09/29 火曜日 11:25:11 JST )
 
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