平成二三年五月眼蔵会報告 プリント

龍泉院参禅会発足四〇周年記念行事が5月14日(土)、15日(日)の両日にわたって開催されました。記念行事実行委員会の方々は昨年の1月から「眼蔵会」の企画・運営計画の作成にあたられ、万端の準備を整えてこの日を迎えました。
kaikoushiki.jpg「眼蔵会」初日の14日は前夜の雨もあがり、暑くもなく寒くもなく、薫風が吹きわたる絶好の日和となりました。会場の外では、龍泉院の法被を羽織られた駐車係りの方々が、来場者の車の誘導・整理で大忙しでした。
9時半から「眼蔵会」の受付が開始され、ぞくぞくと参加者が上山され、大悲殿の広間に集合した後、開講式が行われる本堂に向いました。これより以前、開講式で両班をお勤めになられる方々は、今回初めての経験なので、8時前に集合して予行練習をなされました。
img_1346-1.jpg10時に殿鐘三会が打ち鳴らされ開講式が始まりました。配役の方々は前日にもリハーサルを行い何度も差定に従って練習をしたのですが、本番になるとやはり緊張し不安につつまれたそうです。
img_1360-1.jpg参加者全員が入堂し両班の方も入堂したところで、堂頭導師の椎名老師及び侍者・侍香が先導に続いて入堂されました。参禅会員だけの法要と異なり、一般の方も多く参加した四〇周年行事の重みのためか、堂内にはピンとした空気が張り詰めていました。
導師から「眼蔵会」の香語が述べられ、般若心経一巻を一同で諷誦した後、小畑代表幹事から主催者の挨拶がありました。
開講式も無事済み10時半から大悲殿でご老師による『正法眼蔵』「現成公案」のご提唱が始まりました。「現成公案」はかって昭和56年3月から12月まで、10回にわたってご提唱されましたが、現在の会員の大半が拝聴していないことや、『正法眼蔵』の数多い巻の中でも白眉といわれるだけに、「眼蔵会」でのご提唱として最もリクエストが多く寄せられたこともあり、今回とりあげられることになりました。
img_1367-1.jpgタイトルの「現成公案」の現成とは、眼の前に見えているもの、現れている人間・事象・事物であり、公案とはもともとは公の法則・判例という意味で。一般人が絶対守らなければならないものです。そこから転じて禅宗では仏法の眞理をあらわしているという意味であると、ご老師から冒頭解説がありました。
午前中のご提唱は12時で終わり休憩となり、この間に昼食をいただきました。お天気がよいので昼食後、満開のつつじに彩られた境内を散策する人が大勢いました。
午後1時からのご提唱は「現成公案」の中で最も有名な「佛道をならうというは」の一段から始まりました。この一段については、ご老師から次のような趣旨のご提唱がありました。
佛道をならうことは自己をならうことであり、自己をならうことは自己を忘れることである。自己を忘れることは自我を捨てて、よろずのことどもに教えられることである。よろずのことに教えられることが現成公案することであり、現成公案することにより自己の身心も他己の身心も脱げ捨てることになるのです。
img_1373-1.jpgここで他己とは、他のさまざまな関わりのなかに成立している自己を意味していますが、自己の身心や他己の身心を脱ぎ捨てるとは、自分と他人という相対的な関係をやめることなのです。
この後、薪と灰を例に出し、生と死は前後裁断していることについてのご提唱がありました。途中15分間の休憩をはさんでご提唱が再開され、午後3時半には1日目の「眼蔵会」が終了しました。
翌日の15日も素晴らしいお天気に恵まれました。これも参禅会員の日頃のご精進の賜物ではないでしょうか? 昨日と同様9時半から受付開始、10時から「眼蔵会」のご提唱が始まりました。
img_1409-1.jpgこの日は「現成公案」最後の麻谷山寶徹禅師と僧との「風性常住」に関する有名な問答です。僧が「風性常住無處不周なり、なにをもてかさらに和尚あふぎをつかふ」と寶徹禅師に舌鋒鋭く質問すると、禅師は「なんぢは風性常住をしれども、いまだ処としていたらずということなき道理をしらず」と答えたのです。
そこで僧は「いかならんかこれ無處不周底の道理」と再度質問しますが、禅師は黙って扇をあおぐばかりでした。それを見た僧は深く感じて禅師に礼拝するのです。
この僧の「風(仏性)の本質は変わらないから、扇(修行)を使わなくてよい。扇(修行)を使わなくても風を感じることができるのではないでしょうか」という論理は、風の本質を知らず、その本質の変わらないことも知らないことを、寶徹禅師は扇あおぐことで示されたのです。即ち風(仏性)は誰にでも、どこにも同じく備わっているけれども、扇(修行)を使わなければ、涼(悟り)を感ずることができないということを身をもって教えられたのです。
img_1365-1.jpg寶徹禅師がゆったりと扇をあおいでいる姿が、髣髴と浮かんでくるようですが、このような道元禅師のドラマチックな描写の展開が、「現成公案」の人気の秘密ではないかと思います。
11時半に「現成公案」のご提唱は全て終わり、全員本堂に移動して閉講式が行われました。開講式と同様参禅会員が配役につき、開講式とほぼ同じ差定で執り行われましたので,配役の方々の動きにも、多少ゆとりがあるように見受けられました。
二日間にわたって行われた「眼蔵会」はここに無事円成いたしました。

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最終更新日 ( 2011/11/18 金曜日 22:40:08 JST )
 
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